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この人に聞きたい:第199回
(週刊水産タイムス:09/07/13号)

誰もが発言できる社風へ

株式会社大水 社長  真部 誠治氏

まなべ・せいじ 大分県出身、大分大学経済学部卒。日本水産の福岡支社長、17年6月取締役大阪支社長、21年取締役関西担当を経て現職。62歳。

方向示し、全社員の目線を一つに 

 大阪市中央卸売市場荷受の大水社長に6月29日就任した。「いわばどん底からの再出発になるが、大水が持てる強みを見直し、100%発揮することで早期の再建をめざしたい」と経営建て直しへの意欲を示す。
 日水時代に水産、食品の両部門を歩み、若い頃には大阪支社で当時支社長の清水元一大水前社長のもとで働いた。清水流経営の裏表を知り尽くしている。
 清水体制は25年の長きにわたり、しかも誰もが認めるワンマン経営。上意下達の社風が醸成され、ボトムアップ的な意見具申や新しい改革へのアイデアなど出にくい状況であった。
 長年の間に形成された社内風土をどう打ち壊していくか。まず上下左右へと社内の風通しをよくし、誰もが自由闊達に発言のできる社風をつくりたいと願う。全社員に個別面談もした。相手を知ると同時に「まず真部という人間を知ってもらいたい」。
 社長室を改装し、前室に大きなテーブルを置いて執行役員以上の全員が毎日11時に集合して歓談できるようにした。「幹部同士の意思の疎通や情報交換を図る」のが狙いである。
 関西の水産事情に通じているとはいえ、市場卸の社長となれば仲卸と密接な付き合いが求められる。ところが、「荷受」という別称が示すように卸会社は受けて立つという受動型が多い。「本来はこちらからご挨拶に伺うべきなのです」。社長に就任直後から本場の仲卸をはじめ支社関係を含め400軒以上の仲卸に名刺を配って歩いた。全国の主だった荷主にも挨拶をして回ったという。
 ところで大水の強みとは何か。神戸海産物、京都魚市場、明石丸海を合併し、それぞれを支社にしている。「大阪・京都・神戸という京阪三大都市に拠点を置く市場卸は当社だけ。三都物語キャンペーンを展開、ディズニーの土産袋のように一目で分かる市場名物を作ってアピールするのはどうですかね」。
 また、人口減少、市場経由率の低下などネガティブな話が多いなかで、真部氏は市場発信の活性化策を講じて魚離れに歯止めをかけるべきだと主張する。
 「大阪市中央卸売市場横の川に鉄板を渡してその上で青果・鮮魚合同の一大マーケットを開催するのも面白いのではないか」。奇想天外なアイデアばかりだが、そのくらいインパクトのあるイベントをやらないと市場を活性化できないのかもしれない。
 「大水には優れた水産物のプロがたくさんいる。彼らが目標を共有し、もてる力を発揮していけば再び成長路線に乗れるのは間違いない。皆にめざすべき目標を示し、もてる力を発揮できるような環境整備をするのが私の使命です」。

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