この人に聞きたい:第205回
(週刊冷食タイムス:09/08/25号)
まずは冷凍麺市場の活性化
日清食品冷凍(株)取締役マーケティング部長 荒木 英明氏
あらき・ひであき 入社後12年は即席麺の営業、その後、即席麺と冷食のマーケティングを14年、08年10月から現職。昭和35年6月21日生まれ、49歳。
低〜高価格帯に商品投入
冷凍麺の全カテゴリーに低〜高価格帯の商品を投入する「オールプライスゾーン」戦略を志向する日清食品冷凍。今秋の新製品では従来手薄だった中間価格帯のラインナップを充実させ、冷凍麺市場の活性化を図る。
――上期の状況は?
荒木 冷凍麺市場を活性化するため、店頭実勢売価100円前後の低価格帯商品を、うどん、パスタだけなく、焼きそばやスナックも含めて27品出しました。特にPBを開発できる規模にない中堅以下のスーパーでは、当社の多彩な商品群による売場提案が評価されました。これらの商品が追い風となって、4〜7月は非常に好調に推移しています。
――低単価商品では収益性が低いのでは?
荒木 低単価の商品が儲からないということはありません。当社は単品ごとの収益管理をきっちりしています。
――今秋の新製品では中間価格帯を強化した。
荒木 当社はカテゴリーを創出して市場を大きくする手法で成長してきました。柱商品が1品あればいい、という考え方ではなく、いろいろな価格帯・カテゴリーの関連商材を投入して市場を大きくしていきたいと考えています。その成功例が冷凍パスタ。多様な価格、カテゴリーで商品を投入してきたメーカー各社のマーケティングの力と言えます。
今、冷凍麺市場は低価格志向が強い一方で他社の高単価商品が登場してきたため、100〜200円の中間価格帯が手薄になってきました。ここを埋めて、オールカテゴリー、オールプライスゾーンの提案ができる品揃えをめざしました。今秋、既存の高価格帯ちゃんぽんを持ちながら、中間価格帯のちゃんぽんを発売します。カニバリを危ぐする声もありますが、売場提案をするためには必要です。こうした施策によって、消費者、流通業者のさまざまなニーズに対応できるようになってきました。
――昨年、惣菜分野に参入した。手応えは?
荒木 「お好み弁当」、「素材宣言」、「どんぶりの達人」、「大人の贅沢」、「夕焼けおかず横丁」と5つのブランドを立ち上げました。そのうちお好み弁当と素材宣言の2ブランドが好調なため、今秋も新製品を投入します。残りの3ブランドは仕切り直しです。
――どんぶりの達人かつ丼の具は手を汚さなくて済む「スルットトレイ」など評価が高かった。
荒木 理解は得られましたが、トライアルにつながりませんでした。製品には自信を持っています。何かのきっかけで一気に広まる可能性を秘めていると思います。
――安全安心への取り組みは?
荒木 国内外にあるグループの研究所で検査しており、独自に検査キットも開発しています。国産、海外産を問わず、安全性が確認できない原料は使っていません。あえて消費者に向けてアピールもしていません。それは『日清食品なら安心』と理解していただいているお客様が多いからです。