この人に聞きたい:第206回
(週刊冷食タイムス:09/09/01号)
事業再構築の総仕上げの年
(株)ナックスナカムラ 代表取締役社長 田島 真氏
たじま・しん平成20年2 月1日付で丸紅食料部門長補佐(ナックスナカムラ非常勤取締役)から現職。昭和32年5月生まれ、52歳。佐賀県出身。九州大法学部卒。
卸自ら汗流し売場サポート
ナックスナカムラの田島真社長は昨年2月1日付の社長就任以来、思い切った施策を断行。今年を「事業再構築の総仕上げの年」と位置づけて、「より具体的な施策の深堀を進める」と力強く語る。
――改革の進捗状況は。
田島 昨年は事業再構築のための構造改革に徹し、2年目の今年は総仕上げの年と位置づけています。概ね私が思い描いてきた通りに再構築は進んでいますが、残念ながら「食品業界を取り巻く環境の悪化を見通せなかった」という反省が残ります。そこで、さらなる深堀を進めているところです。
――具体的には。
田島 業務や取引を再度見直して、さらにローコストオペレーションを徹底するということです。新たな施策を設けるのではなく、抜本的な施策を深く掘り下げ徹底度を高めます。2月からの新年度に当たり、社員へ発したメッセージは「コスト意識を高め、取りこぼしをなくせ」と基本的な事ですが、その成果は徐々に表れています。具体的な形にしなければ単なる精神論に終わってしまいます。
――売場を直接担当する専門チームを新設したが。
田島 店舗サポートチームを8月1日付で発足させ、5名体制で関東地区の40店舗を巡回させています。リテールサポートと言葉にするのは簡単ですが、要は塵取と箒を持っての清掃から、売場の霜取り、商品の整理に至るまで担当します。直接的な利益は生み出さない組織でありコスト削減には逆行しますが、まず自ら汗を流すことで顧客の売上げ拡大につなげていきます。3カ月をめどに成果を検証して地域を拡大、いまは冷凍食品だけですが惣菜売場まで業務の幅を広げていく考えです。
――量販店のPB商品台頭をどう考えている。
田島 単価下落に直結しているのは否めません。ただ商品の安値は善し悪しの問題ではなく、時代の流れです。極端な話、100円のモノが半額になっても2個は売れません。あくまで個人的な考えですが、いまの安値傾向の振幅は誰にも止められません。その振り子に落とされないよう辛抱しつつ、振幅が小さくなるのを待つという状態だと考えます。
――基幹システム「ナイス」の導入を終了したが。
田島 昨年12月から本格導入をはじめ、ほぼ終了しました。ナイスの導入により、仮に新型インフルエンザの影響が関西に出て受発注作業がストップしても、関東で対応することができます。
――今1月期の業績概況は。
田島 昨年撤退したチルド惣菜事業を除く既存事業ベースでみると、2〜7月の上半期実績で市販用0.5%増、業務用7%減、共同購入1%減、トータル4%減。ただし共同購入に関してはキャセイ食品の偽装表示問題による影響を除けば10%増と好調です。業務用は5〜7月がとくに厳しかったですね。下期はさらに下ブレするとみており、通期では4〜5%減の着地を見込んでいます。