この人に聞きたい:第211回
(週刊冷食タイムス:09/10/06号)
商品開発力を重視したい
(株)サトー商会 代表取締役社長 佐藤正之氏
(さとう・まさゆき)東北大学卒。食品会社を経て入社。副社長から平成2年社長に就任。ジェフサ会長を兼務。60歳。ワイン通。趣味はスキー、ゴルフ。
低価格化への対応必要に
最近、英国を訪問したサトー商会の佐藤正之社長、経済低迷の中で小売が売上げを伸ばして高収益を上げ、しかもストアブランドの多さに刮目した。改めて日本の問屋は商品開発力の強化が必要だと痛感したという。
――英国旅行で得るものが大きかった?
佐藤 一週間ほどプライベートで出かけたのですが、ついでにロンドンの小売業の視察もしてきました。テスコ、セインズベリ、アズダなど、いずれも元気がいい。英国経済は低迷しているにもかかわらず、各社とも売上げを伸ばし、経常利益率10〜15%という高収益をあげている。しかもストアブランドが大きな比重を占めて利益の源泉になっていることなどに感銘を受けた。
――日本でも小売業のPB戦略が進んでいるが。
佐藤 今後ますます進むでしょう。NB商品をPB化する動きが活発なのは時代の趨勢だと思う。ただ、小売業や問屋がNBメーカーに生産委託するならば、これだけは売り切るというリスクを負わなければならない。単に“うまいとこ取り”をするだけの関係は長続きしないのではないか。
――PB化は低価格化への対応の一環だといえる。
佐藤 消費者はますます安いものを求めるだろう。安かろう悪かろうでは駄目だが、ある程度の質を保ちつつ、より低価格を追求することが問屋やメーカーに求められると思います。
――これ以上の低価格にどう対応すればいいのか。
佐藤 問屋として生き残るために商品開発力が必要。末端市場に近いところで常に顧客と接触している問屋が、ニーズに応えた商品の開発を行なうことが重要。メーカーと提携してニーズに応えていかなければならないと思います。
――メーカーと運命共同体になれるか。
佐藤 共存共栄の関係にならねばならない。ただ、馴れ合いの関係では駄目で、厳しさの中に信頼関係を構築していく。それには自己に厳しく、つねに自己革新していくところから信頼関係が生まれるのではないかと思います。
――下期に入ったが、上期の業績はどうか。
佐藤 期初に約2000万円の売掛け損が出ました。これは取引銀行も含め、寝耳に水の出来事でした。その後も需要低迷で売上げは伸びず、利益も苦戦しています。しかし、こういうときは市場とニーズと自己を見直し、企業を成長させる絶好の機会と考えています。
――創業者の佐藤正治名誉会長は相変わらず闊達としてお元気なようだが。
佐藤 92歳ですが、おかげさまで至って元気。会社には一切口をださないが、私は会長のもつ強烈なオーラに守られていると最近つくづく思うようになりました。私は問屋業に命をかけていると自信をもって言えますが、そうさせるのは、口にしないまでも会長の会社にかける思いの強さが自然と影響しているのだと思います。有難いことだと思います。