この人に聞きたい:第213回
(週刊冷食タイムス:09/10/20号)
基本方針は変えず拡販
高(旧字体)橋工業(株)代表取締役社長 柳井順氏
(やない・じゅん)平成11年に入社し10年目。長年、専務取締役として営業本部長、技術本部長、購買部長を兼務してきた。昨年から社長。1月8日生まれ65歳。
福島工業とシナジー効果を
このほど福島工業の100%子会社となった高橋工業は、日本の連続式フリーザーの草分けであり、冷食業界で同社のトンネルフリーザーを知らない人はまずいない。突然の子会社化に驚いた人もいるだろう。
――管理親会社のハイブリッジを9月末に福島工業に譲渡する形で子会社になった。
柳井 昨年9月に逝去した故高橋充宏社長のご遺族に会社を継ぐ人がいなかったことから、福島工業に譲渡を持ちかけました。会社としては順調ですから、譲渡は自然な流れだと思います。
――癌で亡くなられた前社長はまだ若かった。急遽後を引き継ぐことになり大変だったと思う。
柳井 発病は7年前。実務はその時から特に問題はなかった。しかし、この1年間は大変忙しかった。
――今後も柳井社長体制で続投すると聞いている。福島工業の傘下に入ってからの方針に変わりはない?
柳井 過去数年の業績は右肩上がりですから、今後も基本路線は従来どおりで行くことになりました。もちろん今以上に拡販し、さらに上をめざします。
――前期は年間60台のフリーザーを販売した。景気低迷の時代に業績を伸ばしている。
柳井 前3月期の決算は売上げ31億7700万円、経常利益3億5000万円でした。やはり装置の優秀さが基本にあっての実績だと思います。今年はさすがに景気の影響が出ています。
――国産凍菜のIQF装置など幅広い分野に広げている。
柳井 凍菜もそうですが、当社にとって最近伸びている分野と言えば水産と食鳥です。今まで弱かった分野を拡大できた事が大きい。もうひとつは新機種の開発です。省スペースで能力の高い新型の凍結装置も好評で、2年前に鹿児島県の企業に入り、このほど青森県の企業にも採用されました。地球環境対応も早くから取り組み、アンモニアとCO2冷媒を使った機種など、自然冷媒の分野にも力を入れています。この分野は最近目立って伸びています。今年は創業50周年であり、福島工業のグループになった転機と言ってもいい。食品の安全安心にはさらに力を入れていきます。
――その意味で、シナジー効果も期待されるところ。しかし、業務用冷蔵庫やショーケースのトップメーカーである福島工業と、食品工場の分野でどのような接点が?
柳井 相乗効果は明確にあります。お互いの技術交流はもちろんです。また、多くの店舗を持つ外食チェーンはセントラルキッチンがあり、そこでは当社のフリーザーを使い、店舗では業務用冷蔵庫を使う。その逆もあります。つまり互いの販売網を活用できます。福島工業は川上への進出を進めようとしていますし、その点で高橋工業が先鋒になり得ます。
――人的交流は?
柳井 現状、非常に忙しいので福島工業から常勤の役員として来ていただくことになっています。