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業界交差点

この人に聞きたい:第231回
(週刊水産タイムス:10/03/08号)

築地トップに聞く

築地魚市場 社長  鈴木敬一氏

 

市場ノウハウ生かし閉塞感打破

 ――第3四半期を振り返って。
 鈴木 第1、第2四半期は連結で営業赤字となり、かなり苦戦を強いられたことを考えると、第3四半期の頑張りはまずまずといったところ。10〜12月は1億2000万円の黒字となった。年末商戦が割と順調にいったと言える。卸にとって第3四半期は山場だが、近年は正月色が薄まり、かつてほど年末集中型ではなくなった。

デフレムードに引きずられ単価安に
 
 ――通期の見通しは。
 鈴木 1、2月は苦戦とまではいかないが、厳しさを感じる。通期の売上高は連結で850億円。営業利益は1億円、経常利益は2億円、当期純利益は2億円を予想しており、減収増益となる見込み。配当できる数字ではあるが、経営者としては営業利益をもっと伸ばしたい。
 消費不振、低価格志向が進み、290円弁当や100円均一などの低価格商品が売れている。水産物もこれに引きずられ、単価安が今年の特徴。デフレムードに負け、1〜12月で数量1%、単価3%、金額4%と減少した。数量は8700tで健闘したと思うが、単価でやられた。特に減少したのはブリとサンマ。タコ、イワシは増加した。マグロは横ばいだったが、高価格商品が売れない中で見れば、頑張った。
 来期はGDPが1〜2%伸び、株価も上がり、景気全体が上向くと期待できる。今期よりムードがいいだろう。できれば売上げをプラスにしていきたい。

市場外の開拓で拡大ねらう

 ――社長になり6年。商売のやり方も変化した。
 鈴木 在庫をあまり持たなくなった。委託と買付けの比率も、せりから相対へ移行していることで4対6に変化している。また、ニーズに応える意味でも加工化が進んでいる。付加価値が取れないという課題はあるが、加工化は必然。

 ――水産物の市場外流通が増加している。
 鈴木 市場経由率は確かに減っており、築地市場の2009年の取扱高は9%減少した。今後も少しずつ減っていくと予想されるが、そうした中でどうやって生き残っていくかが大きな問題。まずは卸売市場という存在が今後どのようになっていくかを考えなくてはならない。食料の生産量と需要と供給が世界的に大きく変わらない限り、市場の水産物の取扱量が増加する要素はなく、良くても横ばいだろう。

 ――その中でいかにして経営戦略を練る。
 鈴木 市場内業務と市場外業務を区分していく。市場の中の業務は縮小傾向にあり、現状維持もしくは微増で上等。そうすると市場外業務がポイントとなり、加工事業、海外展開、極力末端に近いルートの開拓を進めていかなければならない。本業以外では金融投資は縮小し、不動産資産を有効活用する。市場外業務を伸ばすことで会社全体を拡大していく。

 ――生き残っていくためには、新たな需要を創造しなければならない。
 鈴木 専門業者と提携し、通販といった無店舗販売での販路開拓が考えられる。築地荷受というネームバリューを大いに活用し、場外での事業につなげる。また、市場内外ともに仲卸業者との提携を強化する。仲卸は築地という伝統の中で培われた専門家であり、その豊富なノウハウを活用しなくてはもったいない。

 ――そのためにも、まずは売場の改革が必要だ。
 鈴木 量販店も水産売場の活性化に行き詰まりを感じている。閉そく感を打破するためには量販と一体となって協力し、卸と仲卸のこまめな機動力・ノウハウを末端販売に生かすべき。売場を盛り上げることが、ひいては消費者に対する魚食の啓蒙につながる。

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