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この人に聞きたい:第243回
(週刊水産タイムス:10/06/07号)

中央魚類 伊藤裕康社長に聞く

中央魚類 社長  伊藤裕康氏

 

外部の知見や優れた個性
マルナカグループで生かす

 この6月で社長交代となる中央魚類。全水卸会長をはじめ、数々の公職を兼務している伊藤裕康社長は代表取締役会長としてマルナカグループ全体を見て、中央魚類の社長には大滝義彦副社長が昇格する。専務交代も含め、今回の人事の狙いについて伊藤氏に聞いた。

 ――日本水産グループから2年前に中央魚類の子会社となったホウスイ(東京・築地、乃美昭俊社長)の活躍が顕著だ。初年度で悲願の復配を果たし、その後、船橋や厚木の増設で保管能力は旧中央冷凍のピーク時を超え、過去最高に達している。
 伊藤 乃美社長は慎重な人であり、常に一歩先を考えるタイプ。そして、ひとたび決断すれば必ず数字の上で結果を示す。もともとは新東西にいた人だが、私自身が無理を言って引っ張ってきた。今は(中央魚類グループに)来てもらって、つくづくよかったと思っている。

 ――ほかにもマルナカグループは外から来た人が多い。
 伊藤 株主総会後に専務となる小川征英常務(ニチレイ出身)にしても、ホウスイ副社長に転じる高橋昌明専務(日本水産出身)も、これからのマルナカグループはプロパーと外部との融合をいかに図るかがカギになると考えている。それぞれの個性や知見をマルナカグループに同化させながら次の発展につなげていく。純血主義を否定するわけではないが、卸売市場は閉鎖的な部分が強いので、常に新しい血を取り入れながら全体の調和を図っていく方向を目指したい。

人格・経験とも大滝新社長が適任 
 ――大滝義彦副社長を後任の新社長に据え、会長(CEO)としてグローバルな目でマルナカグループを見て行くというのが今回のポイントか。
 伊藤 そう理解していただいていい。全水卸会長をはじめ、複数の公職に就かせていただいているが、何事も全力投球しなければ気が済まない性分なので、以前から「体は大丈夫か」と周囲に心配をかけてきた。OUGホールディングスのような持株会社の形も考えたが、島貫文好会長率いる仙台水産をモデルにしたいと思い、今回の改革を考えた。島貫さんにもいろいろアドバイスいただいた。

 ――大滝氏については。
 伊藤 何よりも理系の人なのでコンピュータに強い。私にとっては改革の同志であり、貴重な相談相手でもある。以前から後任として考えていたので営業本部長も務めてもらったが、仕事にあっては決して骨惜しみせず、嫌なことも率先して引き受けてくれる人。今の中央魚類で最適任者であることに間違いない。

グループ拡大のカギ握るホウスイ
 ――社内改革に取り組んできた高橋専務がホウスイに行くのは、改革のメドが立ったという意味か。
 伊藤 あれだけ優秀な人が下界(卸売市場)に降りて、実に良くやってくれた。卸売市場のあり方研究会(高木勇樹委員長)の最終とりまとめにしても、事務局を担った高橋専務がいなければできなかっただろう。中央魚類、マルナカグループとしての改革は道半ばであり、高橋専務と始めた中期経営計画づくりをあきらめたわけではない。1年くらいでまとめたい。

 ――それにしてもホウスイとは意外だった。
 伊藤 マルナカグループ全体のことを考えると、ホウスイのポジションは極めて重要。船橋冷蔵庫に隣接して開業した船橋流通センターの業務は日本水産の船橋加工センター、当社子会社である水産流通の船橋水産センターが入って多角的に広がっており、今後のグループのカギを握る存在。グループにとって、またホウスイにとっても高橋専務に見てもらうのがベストだ。中央魚類では取締役会と別に、昨年秋から私と大滝副社長、高橋専務、小川常務の4人で常務会を開いてきたが、これが非常に有意義であり、特に高橋専務、小川常務の視野の広さに毎回、勉強させられた。立場は変わるが、今の常務会は何らかの形で今後も継続していきたい。

 ――どの社も苦戦を強いられたが、前3月期を総括してほしい。
 伊藤 水産物の買い負け状態から、リーマンショック以降は買付けしやすくなったものの、一転して消費がガタガタ状態になった。非常に厳しい1年だったと言わざるを得ない環境の中で、内向きには膿を出しながら会社の体質改善を図った。何一つ誤魔化すようなことをせず、真正面からの再建に取り組んだ。正念場の年だったといっていい。

 ――社員の意識改革もあっただろうし、具体的に商売のやり方が変わった面もあったと思うが。
 伊藤 改革の必要性は叫ばれていたものの、まだ委託販売を主体とした古い体質が残っていたし、油断もあった。在庫の持ち方、買い付けの仕方についても根本的な部分までの変革に踏み込んだ結果、その方向性が見えてきた。かつては品物を確保すれば、あとノーリスクで5.5%の手数料をいただけるという体質が染み込んでいた。所詮、買付けた品は、損をするか、得をするかのどちらか。在庫管理の手法を抜本的に変えた結果、在庫は70億円から30億円まで圧縮した。

 ――会長としての役割と動きは。
 伊藤 中央魚類、ホウスイ、柏魚市、千葉中央魚類、船橋中央魚類の5社によるグループ会議を月1回、ここで聞くことにしている。私自身もこれからはグループ各社の取締役会にしっかり出られるようになる。前年が正念場の年であるから、今年度は再建第一歩だ。仙台水産も島貫さんが長年考えてきたITを軸にした変革が形となって表れてきた。マルナカグループもこの2年、無我夢中で取り組んできたことを結実させなければならない。

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