この人に聞きたい:第256回
(週刊冷食タイムス:10/09/07号)
発足25年目の情報インフラ
(株)ファイネット 代表取締役専務 仲小路 啓之氏
(なかこうじ・ひろゆき)昭和49年味の素入社。冷食11年。本社広域部長、カルピスダノン副社長、本社広告部長。昭和26年7月東京広尾生、慶応大法卒、59歳。
食品産業全体に網広げる
冷凍食品VAN運営会社として86年に発足して25年目。酒類食品業界最大の情報系インフラサービス会社に育ち、新たな機能強化を進める。仲小路氏は味の素入社後、東京支店と本社で11年強冷凍食品を担当した。
――前任の村尾齋氏に代わって、味の素本社広告部長から7月1日で異動。これまでのキャリアからファイネットとは関係深いような、畑違いのような……。
仲小路 “冷食VAN”でスタートした会社という点で私も若手の頃、冷凍食品を経験しています。しかし営業の人間として、情報、システム系は一番遠いところ。まぁ、これも何かの縁、与えられたミッションを忠実にこなすだけです。
――冷凍食品担当時代のおつきあいもかなりあるのでは。
仲小路 冷食から離れてもうしばらくたちますが、当時の関係者とはいまでも交流があります。流通業界、小売店の元バイヤーさんなど、いまでもいいつきあいをさせてもらってます。
――酒類・食品業界の情報系共通インフラという位置づけに機能を高めたファイネット、どんな具合に運営したい、と?
仲小路 酒類・食品業界に携わるメーカー、卸の商流業務の効率化を図るのが最大のミッションであり、それが株主であるメーカー、問屋の願いでしょう。味の素の広域営業担当部長を務めていた頃、ファイネットの業務につながる経験をしたことがあります。
――広域営業といえば大手チェーン相手の業務だ。
仲小路 顧客である販売店から直納の要求が相次ぎ、メーカーに対応を求められました。私がこの矢面に立たされた。しかし当時の江頭(邦雄)社長の考えは明確。そこで販売店の部長、役員を相手に「ノー」の立場を貫いた。得意先ごとに個別対応するより、業界モデルである卸店を介在した取り組みのほうがいい。ビジネスモデルを崩すと、効率が悪くなります。ファイネットも同じ。企業が個々に対処するより、業界共通で取り組んだ方が無駄がなくなり、効率経営ができます。
――「冷食VAN」の立場からオール食品に領域を広げ、酒類まで取り込んだのは正解。
仲小路 情報系インフラとして冷食だけに狭めるより広く取り組んだ方が意義、役割は大きくなります。その点で発足から今日までを支えていただいた多くの先達、役職員諸先輩の先見性、慧眼と努力はさすが、と痛感しています。
――発足から四半世紀、久々に役員も変わった。何をどうする?
仲小路 流通もメーカーも業界環境が著しく変化しています。このことを捉え、新基軸に挑戦する段階にあるでしょう。それが何かはさらに検証が必要で、最終判断は別に行なわれますが、少なくともそれが「全体最適」でなければならない。また、中長期経営計画を考えていますが、業務の特殊性からして数値目標よりも展望を打ち出すことを優先させたいと思っています。ファイネットがスタンダードとなるよう取り組みます。