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この人に聞きたい:第263回
(週刊冷食タイムス:10/10/26号)

コンビニは社会インフラ

(社)日本フランチャイズチェーン協会 会長  土方 清氏

(ひじかた・きよし)2003年理事、07年常任理事、08年から現職、現在2期目。サークルKサンクス取締役会長。1945年生まれ。

冷凍食品はまだ伸びる
冷凍食品月間特別インタビュー

 コンビニエンスストア(CVS)が日本に登場してから36年。30坪前後の売場で進化し続け、今では生活者にとって不可欠な存在となった。改めてCVSの社会的使命について聞いた。(聞き手・越川宏昭)

 ――今期の会員企業の動向は?
 土方 外食ではたい焼き、たこ焼きなど少額投資で開業できる業態や低価格業態の店舗数が増加した。高齢化、低価格志向に応え、宅配に力を入れる企業も多くなった。
 ただし、食のマーケット全体は縮小傾向にある。高齢化によって胃袋が小さくなり、人口減少のスピード以上に食のマーケットの縮小が進んでいる。
 CVSは昨年タスポ効果が一巡して厳しかったが、今年はそれがない。さらに7〜8月の記録的な猛暑でアイスや飲料が伸び、既存店日販がプラスに転じているチェーンもある。

 ――CVS業界は高齢化にどう対応していくのか聞きたい。
 土方 高齢化が進んで1〜2人世帯がどんどん増えている。自宅から半径300m以内にスーパーがない場合、生鮮コンビニが求められる。これも高齢化対応の1つ。
 また、高齢者にとって介護商品に対するニーズは高い。例えば、成人用おむつは子供用の売上げを上回っている。だが、かさばるおむつを店頭に並べるのは難しい。そこで店舗に設置している情報端末を使って受注し、翌〜翌々日のうちに店舗に留め置くこともできる。ほかに行政サービスの代替などCVSは社会インフラとしての役割を担っている。

 ――CVSには“地産地消”をテーマにした商品が多い。
 土方 地域に見合った商品を開発することは、地域経済の活性化につながる。千葉ではこれまで廃棄していた規格外のさんまを使った開発商品のフェアを開催した。大学や料理学校ともコラボした。もちろん地域の食材を使う。これが良く売れる。

 ――地球環境への対応も課題だ。
 土方 2008〜12年度の5年間の平均で、店舗ごとのエネルギー消費原単位を90年度比で23%削減すると発表したが、ほぼその水準に達している。例えば、LED照明、太陽光発電、電気自動車・充電スタンドの導入など。食品廃棄物の飼料化、メタンガス化の実験もしている。

 ――海外市場をどう見る?
 土方 フランチャイズビジネスにとって国内市場の漸減傾向は免れない。海外進出は一番に置くべき戦略。日本のフランチャイズビジネスは進んでおり、アジアでは日本のノウハウが求められている。特にCVSは他国の追随を許さない。日本のCVSは30年以上、『便利』という機軸で時間、距離、商品、サービスをイノベーションしてきた。スーパーは売場を拡大してきたが、わずか30坪程度の売場で坪効率を維持しているのはCVSぐらいだろう。

 ――冷凍食品をどう見ている?
 土方 これまでの補助的な役割から中心になり始めている。CVSでも品揃えは増えてきたが、まだ不十分。これから増やしていかなければ。高齢化、核家族化が進む日本では、簡単でおいしく、そして安全で低価格な冷凍食品がまだまだ伸びていくだろう。
 冷凍食品ともう1つ、缶詰をもう一度見直してもいいのではないかと思う。CVSの黎明期には一定の売場を確保していた。レトルトや冷凍食品が入ってきたため、缶詰は次第に売場が縮小してしまったが、おいしさ、栄養バランス、環境への優しさを考えると、缶詰が復活することにも期待したい。

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