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業界交差点

この人に聞きたい:第269回
(週刊水産タイムス:10/12/06号)

東京湾の再整備と共に

東京冷蔵倉庫協会 会長  楡 敏秀 氏

(にれ・としひで)ニチレイ専務として低温物流事業の変革期に指揮を取った。平成17年から東京団地冷蔵社長(現在は顧問)。日本冷蔵倉庫協会副会長。慶大商卒。昭和21年7月生まれ。

 東京の冷蔵倉庫業界が抱える問題は「経年化」と「CO2削減に向けた規制への対応」という。都内は3分の2の冷蔵倉庫が築30年以上。「国のスーパー中枢港湾に指定された京浜港の開発と合わせて、スクラップ&ビルドが進めば」と期待を寄せる。

 ――今年の在庫状況は。
  「リーマンショック(20年秋)をはさんで、以前の右肩上がり、以後の右肩下がりがあまりにドラスティック。長年この業界にいるが、これほどの極端な変化は経験していない。結果的に今年は20年と21年の間で推移したが、在庫水準としては依然として低位のままだ」

 ――全国的には厳しくても東京だけは良いという状況が続いてきたが。
  「東京も厳しくなった。荷主の低価格化要求で、在庫をギリギリまで絞り込む傾向が強まっている。この低在庫が一過性なのか、構造的な現象なのか、しっかり見極める必要があるが、個人的には今の在庫水準がスタンダードと考えざるを得ない」

 ――直面する課題は。
  「冷蔵倉庫の経年化と都条例による温室効果ガスの削減規制への対応などだ。事業所単位で見ると、築30年超が3分の2でスクラップ&ビルドは待ったなし。現実にはビルドを先行させる必要があるが、羽田空港の拡張や、築地市場の移転、中央防波堤の土地確保、さらに京浜港がスーパー中枢港湾に決まったことで、東京湾全体の再整備に直結する問題となった。国交省や都への働きかけを続けているが、できるだけ早く再整備の方向を定める必要がある」

 ――道路整備は着々と進んでいる。
  「3環状(中央環状、外環、圏央道)と9放射(東名、中央、東北、湾岸など)が整いつつある中で、冷蔵倉庫が取り残されるのは“仏造って魂入れず”。民間事業だが、生活者に食料を安定供給するための重要な社会インフラであることを忘れてならない」

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