この人に聞きたい:第276回
(週刊冷食タイムス:11/02/01号)
量販店向け大きく伸長
(株)キンレイ 食品事業カンパニー最高経営責任者(CEO) 片岡 晃氏
(かたおか・あきら)早大第一文学部卒。コロンビア大学MBA修了。キッコーマン欧州製造法人社長、ベルリッツジャパン社長などを経て22年4月から現職。昭和30年生まれ56歳。
3カ年計画は狙い通り
キンレイは昨年4月からの3カ年計画で大きく変貌している。基本方針の「超アルミ鍋」は商品形態の多角化、「超コンビニ」はチャネル拡大、「超日本」は海外進出。初年度にして早くも具体的な変化が現れている。
――昨年の夏は暑さが明暗を分けた。
片岡 ご存知の通り昨年は8月が記録的猛暑。9月の残暑も厳しく、調理冷凍麺は非常に苦戦しました。そのため流通在庫が多く10月の出荷も良くなかった。昨年の4〜5月に前年比二ケタ増でスタートできたことと、夏場に業務用の玉麺需要が伸びたため、トータルでは前年をクリアしているものの、市販用の調理麺に限っては厳しかった。
――麺類ではチルドの冷やし中華ばかりが売れた感がある。
片岡 コンビニエンスストアのリーチイン冷凍ケースではアイスのスペースが増えて麺のフェイスがとれず、しかもチルドとの競合もあった。
――昨年秋にアルミ鍋調理冷凍麺を全てIH調理対応に変更した。
片岡 暑さで売れなくなる理由は@調理に火を使いたくないA冷たいものを食べる――ことですが、IH対応化により今年から@の問題は少なくなります。さらに、今年はつけめんや韓国冷めんなども発売することでAの問題もなんとかなるでしょう。
――猛暑対策はばっちりだ。
片岡 しかし、IH調理でもまだ暑苦しさを感じる消費者もいるかもしれない。そこで、レンジ対応のプラスチック容器入り「くじら軒横濱しょうゆラーメン」を昨秋発売した。これは評判がいい。
――チャネル拡大も具体的な対策が進んでいる。
片岡 量販店にはストレートスープの袋入り調理麺が好評。一昨年も「おうちでかんたん」シリーズとして発売しましたが、昨年は「お水がいらない」に変えて訴求したところ、成果が出ています。量販店は大きく伸びています。
――もっと伸びているのが生協ルート。
片岡 生協ルートは絶好調です。さすがに昨年の夏場はダウンしたものの、それまでの関西だけでなく、関東の生協にも扱いが広がっています。生協ではいわゆる「ご当地グルメ」のカボチャのほうとうがヒットしています。
――3カ年計画の狙い通り?
片岡 狙い通りと言えます。猛暑もあって売上げは11月まで1〜2%増だったが、年明けうどんで弾みがついた。1月はコンビニ、量販、生協はかなり好調で前年比20%増を超えて進捗しています。在庫の圧縮や売れ残りの削減などで利益も高まっています。
――海外進出は?
片岡 昨年にもタイ、中国を視察しましたが、現地ではラーメンなどの日本食はエスニックというより、もっと身近な存在になっていると感じた。市場は絶対にある。問題は、調理麺では畜肉や畜肉エキスを使うので輸入できないこと。そのため製造してもらえるところを探しています。それと並行して市場調査も行なっています。