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この人に聞きたい:第288回
(週刊水産タイムス:11/04/25号)

全社一丸で危機突破を

仙台水産会長CEO  島貫 文好(しまぬき・ふみよし)氏

 

東日本大震災で取引高の半分失う

 東日本大震災により三陸沿岸の漁業および水産卸売市場が壊滅的な被害を受けているなかで、拠点市場の仙台中央卸売市場の仙台水産は「食は命そのもの。市場機能を休ませてはならない」(島貫文好会長CEO)との考えから、震災翌日の3月12日から日曜・休市日も返上して鮮魚以外の即席食品や簡便商品を中心に採算を度外視して供給を行った。
 仙台水産グループ自体が被災者でもあり、当初は損害総額10億円を覚悟したほど。その後被害の実態が明らかになり6億円弱の見込みとなったが、前3月期決算は3億円強の利益予想が逆に約3億円の損失予想へと下方修正を余儀なくされそうだという。
 今回の被災地である八戸から小名浜までの沿岸域の取引金額は同社の全取扱額の5割に達する。仕入先の半分近くを失ったことについて島貫会長は「影響は甚大、しかも元には回復しないだろう。新しい経営スキーム(枠組み)作りを急がなければならない」と迅速に対応策を講じる構えを示す。
 従来の仕入先で被害の軽微なところとは扱いのパイプを拡大し、新たな取引先の開拓に努めることが必須である。このため、各方面に人を派遣し、大幅なグループ内での人材シフト替えを図った。社内に災害対策室を設置し、情報の一元化ときめ細かな責任体制を組織、社員の交代出社体制を敷いた。
 仕入先のみでなく、消費マーケットも2〜3割は縮小すると見込まれている。
 島貫会長は「未曾有の危機的状況を迎えているが、この試練に負けていられない。『生き残りをかけて、社員のために、市民のために』をモットーに全社一丸で頑張る」と陣頭に立って戦う集団を率いている。

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