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この人に聞きたい:第300回
(週刊冷食タイムス:11/07/26号)

昨年上回る暑さに対処

(株)ニチレイ・アイス 代表取締役社長  有田 博之氏

(ありた・ひろゆき)昭和59年入社。平成19年SUNIF上級副社長、21年ニチレイF事業企画部シニアプロフェッサー、昨年現職。昭和36年長崎生、慶應工卒。

節電するが供給は大丈夫

 節電対策で製品の作りだめをするメーカーが多い中、包装氷を扱う同社は気温の急激な上昇につれて出荷量が急増。1年で最も忙しいシーズンを迎えている。猛暑と節電、どう対処しているのか聞いた。

 ――暑さ本番、売れてる?
 有田 売れてます。気温が上昇するとアイスクリーム、飲料と氷は売れますが、今年は当初見込みを上回る勢いで出てます。今後どれくらい伸びるか、想定以上にいま出ているのは間違いない。実は6月の平均気温は中旬まで例年を下回っていたんですが、下旬から一気に上回り、最高気温も各地で35度Cを超えるようになってきました。

 ――暑かった昨年よりも今年は暑いような気がする。
 有田 昨年の夏は7月20日から真夏日が連続しましたが、実は気温の上昇カーブが今年は昨年より急、つまり昨年以上に一気に暑くなったことがデータでも明らかです。今年7月初旬、中旬の平均気温は例年を上回っています。

 ――暑くなれば氷も売れる。
 有田 暑さが一気に本番となった上に節電が加わって、包装氷の需要は急増しています。量販店やコンビニでも今年は氷のフェイスを増やしたところが多い。また供給を確保するため、扱いメーカーの複数化も進んでいるようです。

 ――供給量は確保できそう?
 有田 今年の需要が増えることは当初から織り込んでおり、在庫も持っています。ここまで前年比で3〜4割アップ。このままいけば8月中・下旬まで供給は大丈夫と見ていますが、この先の気温と需要がどうなるか。当然、目一杯生産して対処はしていますが。

 ――工場の節電対策もある。
 有田 電力使用量の節減要請を受け、15%カットをめざして調整しています。東京品川の東京アイスプラントは最新式のターボ製氷システムを導入していますが、例えば1台を停める。あるいは大泉アイスプラント(山梨県北杜市)、二色の浜アイスプラント(大阪府貝塚市)などのアイス缶方式では4時間で製品化するのを5〜6時間にするなど工夫しています。もちろん品質には影響しません。

 ――佐賀アイスプラント(佐賀市)を直営化したが。
 有田 4月に直営としました。これで直営は東京、大泉、二色の浜と合わせ4工場。このほかにOEM先が全国に10カ所あり、安定供給に努めています。東京電力、東北電力管内が電力供給制限を受けても、各地に生産拠点を持っているのでリスク軽減になります。

 ――節電はするが供給はOK?
 有田 3月の時点から休日操業も含め前倒しでフル稼働を続けていたので商品は持っています。セキュリティ対策、品質・衛生対策などを含めた最新鋭の東京アイスプラントに視察見学者が増えていますが、こういう時期なので安心していただき、発注が増えます。しかし家で使う氷の7割は冷蔵庫の自家製、こだわらない人が圧倒的に多い。これを切り崩せば市場は10倍。今年はそのチャンスかと。包装氷、是非使ってみてください。

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