この人に聞きたい:第302回
(週刊冷食タイムス:11/08/09号)
海外市場開拓に取り組む
(株)オカフーズ 代表取締役社長 岡 孝行氏
(おか・たかゆき)専務を経て現職。法大卒業後、カナダに語学留学。帰国し食品会社で修行後、上海に留学。8年前に入社。横浜市出身。昭和49年12月生まれ、36歳。
上海に独資で事務所設立
中国やベトナムでも生産拠点の拡充を図るオカフーズ。上海には販売会社を設立する。8月1日付で代表取締役社長に就いた岡孝行氏は海外経験が豊か。国内でのブランド商品浸透に加えて、海外販売にも取り組む。
――社長交代は予定通り?
岡 震災を経て何が起こるか分からないという経験をしました。会長も心境の変化があり、社長交代は自分が元気な間にと考えた様です。営業本部長兼務の私に方針戦略を委ね、戦略遂行のバックアップに会長が回る体制に移行しました。
――社長の立場で社員に伝えているメッセージは。
岡 顧客価値を高めるため、社員に対するキーワードとして@平準化A現場力――の2つを掲げ、それぞれを組織力で向上させようと伝えています。例えば平準化に取り組むことで、生産や販売等の異常が見えるようになり、その結果、ローコストオペレーションにつながります。平準化と現場力の向上を社員が実践できる仕組み作り、環境作りが私の役割です。
――被災した気仙沼、釜石、塩釜の協力工場の現状は。
岡 取り引き再開は一部に留まっています。三陸製品の年商に占める売上げ比率は震災前に10%弱でした。中国やベトナム・ダナン、千葉県船橋市の100%子会社工場や他エリア協力工場で三陸の分を5〜6%カバーしています。
――前5月期売上げは6%減。
岡 震災が減収要因ではなく、営業方針の反映です。無理に売上げを追求せず、当社の機能や仕組み、製品の価値を認めて下さるお客様との取り組みを強化してきました。最終利益は震災関連の特損計上で減益となりましたが、営業利益、経常利益は多少ではありますが増益となりました。
――ベトナムの協力工場で新たな取り組みはある?
岡 年明けには生産量を増やす計画です。その準備として、原料保管用の冷凍庫を増設中です。現在の庫腹量は数百t規模ですが、年内に完了する1期工事により1000t規模となります。2期工事も検討しています。生産量は、中期的には2倍増の目標ですが、まずは1.5倍増を図ります。
――海外で販売する考えは。
岡 上海に独資で「欧珂(上海)食品有限公司」を立ち上げ、市場開拓に乗り出します。中国政府の認可を既に取得し、事務所の建設工事も完了しました。登記を行なっているところです。営業活動は年明けから本格化し、日系等の卸を通じ、現地の小売りや外食市場に商品販売を行ないます。まずはマーケットを見極め、現地企業を早期に黒字化するのが目標です。
――今後の国内での方針を。
岡 従来からの方針ですが、「骨取り切身百選」シリーズ、「築地グリル亭」、「築地いか本舗」のブランド商品の売上げ比率を高めることです。原料や一次加工での供給による売上げと同水準まで、ブランド商品の売上げを早期に引き上げるよう取り組んでいます。新たなブランド商品の投入も来年の春頃に考えています