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この人に聞きたい:第308回
(週刊水産タイムス:11/09/19号)
国際競争力ある漁業に
水産庁 資源管理部 漁業調整課長 長谷 成人氏
(はせ・しげと)昭和56年北海道大学水産学部卒業。同年4月に水産庁入庁。沿岸沖合課課長補佐、資源管理推進室長、漁業保険管理官、沿岸沖合課長などを歴任。今年9月から現職。
「渓流のイワナから大西洋のクロマグロまで、守備範囲が大きく広がりえらいことになったな」。漁業調整課長に就任した感想をこう話すが、その表情はうれしそう。前職は念願だった沿岸沖合課長。今回の人事も「遠洋漁業が加わった以外は前の仕事の延長線。看板掛け替えての続投だ」と張り切る。
高校時代はフランスの海洋生物学者、ジャック=イヴ・クストーに憧れていた。大学は迷わず水産学部を選んだ。卒業時は「200海里時代の到来」と重なった。「でも、天地が広そうな国家公務員になりたいと思い、水産庁に入った」。 30年の職歴のうち、半分以上が漁業調整関係の仕事。資源回復計画とTAC(漁獲枠)や漁業経営安定対策(積立プラス)、燃油高騰対策など、重要政策に携わってきた。「自分の担当中に出口にたどり着けないことも多いので、駅伝のつもりで後輩とのつなぎを大事にしているつもり」。 外務省や宮崎県庁などにも勤務した。宮崎県に漁政課長として赴任した当時が印象に残っている。「現場に近いし、組織も国のように大きくないから意志決定が早い。新しい仕組みをつくったり、他県との調整問題で合意にたどり着いた時は、達成感があった」。 東日本大震災で、被災地は壊滅的な被害を受けた。目下の課題は復興対策。「関連産業を含めたシステムとしての水産業の復興を常に考えている。水産特区構想も含めさまざまな意見があるのは当然だが、空論ではなく浜の実態を踏まえた施策を効率的に進めていきたい」。 「超円高」対応も視野に入れる。「日本の漁業管理のよき伝統は守りつつ、ガラバゴスにならぬよう国際競争力を高める構造転換への道筋を付けたい」。 座右の銘を尋ねると、「席の左側ですが…」と視線の先に、片岡鶴太郎のカツオの絵「たたかれてもほされても味を出す」を飾る。休日はサッカーや妻との旅行を楽しむ。東京都調布市出身。53歳。
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