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この人に聞きたい:第311回
(週刊冷食タイムス:11/10/11号)

「なりたい姿」描き、とことん考える

テーブルマーク 代表取締役社長  日野 三代春氏

(ひの・みよはる)昭和53年旭化成入社。平成12年JT、食品事業本部事業企画部長、執行役員食品事業部長、20年加ト吉常務執役統合事務局長、21年取締役専務執役事業部門統括担当から6月24日付で社長に。昭和30年4月10日宮崎生まれ、西南学院大商卒、56歳。

売りは下げ止まり、復活の手応え

 山田良一会長が「事業統合と社名変更は成し遂げた。後は食品のプロの出番」と後事を託したのが日野社長。これからどうする――。単刀直入の切り込みに、日常生活も含め、真正面からちゃんと答えてくれた。

 ――山田会長曰く「事業統合と社名変更の土台は作った。あとは食品のプロの出番」と評していた。
 日野 旭化成でも財務畑。旭化成からJTへの転籍組で、食品事業本部に残ったのはなぜか私だけとなったが、それも5年間。計数管理は知っているが、プロというほど食品を知っているわけではありません。ただ、生産ラインの能力、原価、配置人数もわかっている。だから計画を見て即座に「できるわけないよ」と言ってしまう。

 ――経営トップとして考えることは?
 日野 私は毎朝3時に起床し、テーブルマーク出社も7時と、社員より、守衛さんより早かった。起きて、朝食を終えればすぐ出社、出たらすぐフルスロットルという仕事だけの人間なんです。起きて出社し、その間もすごくいろいろ考える。考えればアイデアも生まれる。とことん悩む。ずっと考えていると、変わる瞬間がある。10年先の希望を描き、「そうなりたい」と思い悩み、実現するためには3年後の課題、1年後、いま、それぞれに何を成すべきかと道すじが見えてくる。冷凍パンもその中から生まれた。

 ――麺、米飯に次ぐ主食3分野の1つが冷凍パン、という捉え方ではない?
 日野 攻めどころを絞ったのは間違いないが、実は冷凍パンを打ち出す以前、旭化成グループだった東洋醸造はパンに不可欠のイースト菌技術に関し、ケタ違いの技術を持っていました。その中から旭化成は冷凍ベーカリーに挑戦したこともありました。こうしたあらかじめ持っていた知見と、JTグループのサンジェルマンで活躍するパン職人のノウハウを融合させた結果がテーブルマークの「ベーカーズ・ディライト」に生きています。「こうなりたい」と夢を描き、実現に向けて取り組む。これが私のスタンスです。

 ――大きく落ち込んだ売上げを統合前の加ト吉規模まで“戻す”と就任会見で基本政策を打ち出したが。
 日野 前期の加工食品は(一部常温を含め)57億円減の1255億円。しかし今期は第1四半期(4〜6月)で2億円増の318億円。決して胸を張って「順調」と言える内容じゃないが、少なくとも復活の兆しは見えてきました。前期が底だった、と言えそうです。餃子問題、ミートホープに循環取り引き…。落ちるところまで落ちたが、もはや下げ止まったかと。

 ――テーブルマークの強さは何か?
 日野 “人財”です。テーブルマークは旭化成、JT、加ト吉出身の強い個性を持つ社員が1つの会社となったので、山田前社長も融合を大事にし、出自に捉われない配置、待遇を進めてきましたが、ようやく1つになったかな、と感じます。それぞれの言語、手法で私の了解を取ろうとしていましたが、もはや全体が束になって私と張り合うようになってきた。よく話し合っているみたいですね。

 ――現場にまめに足を運んでいる。
 日野 統合事務局長時代の仕事は社員と徹底的に飲むことでした。飲めばホンネも聞こえる。昨年の中計策定時にも管理職を対象に100回の座談会を実施しましたが、話の後は酒。半年かけて、中国も含め全事業所に出かけました。大変だったけど、今年も「来てくれ」と要望が出てます。これはうれしいですね。

 ――重点戦略は。
 日野 まず、うどん。もっと伸ばせるはずです。麺のレンジ調理どころか、冷凍麺の認知もまだ低い。冷凍食品の啓蒙は絶対に必要。PR、強化します。パンも「伸ばす」と決めた分野。やります。

 ――加藤義和氏の評価も聞きたい。
 日野 すごい人です。米どころで米飯を手がけ、水の大事さも知っていた。事業戦略家として尊敬しています。

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