この人に聞きたい:第315回
(週刊冷食タイムス:11/11/08号)
来期、改めて100億円に挑戦
(株)昭和食品 代表取締役社長 岩田 安福氏
(いわた・やすふく)昭和48年トーホー入社以来、岡山から四国、福岡、沖縄まで西日本を担当。今年3月29日付で現職。昭和25年2月生まれ、鹿児島県出身。
毎朝入荷の「鮮魚」で差別化
宇都宮市に本社を置く業務用食品卸、昭和食品の岩田安福社長は今1月期の業績について「震災の影響で3月、4月は前年実績を大きく割り込んだが、上期8月からは回復に向かっている」と語る。(記者会見から)
――東日本大震災など予期せぬ事業環境に晒された。今1月期の業績推移は。
岩田 大震災が発生した3月は前年比70%台前半、4月は80%前半と苦戦しました。7月は95%まで戻し、8月はほぼ100%に回復。9月、10月は微増まで戻しました。ただし対象業態による差が大きい。秋の行楽需要を迎えている日光、鬼怒川、那須塩原のホテルは70〜80%台と依然厳しい状態が続いています。苦戦の要因は、福島原発事故の影響による客足の激減であり、今冬、あるいは来春にも閉鎖を予定しているホテルもあります。
――栃木県はゴルフ場が多い土地柄だが。
岩田 暑さの続いた夏場は駄目でしたが、9月に入るとゴルフ場も回復に向かい始めました。それに大型ショッピングモールのレストラン関係も好調ですね。やはり「安近短」(安く近く短く楽しむレジャー)の流れが強く、心理的なものでしょうが、宿泊を控えるムードはまだまだあります。レジャーとは全く別ですが、介護・老健施設は順調に推移しています。いわゆる「やわらか食」などの分野には今後も力を入れます。
――その他の成長分野は。
岩田 鮮魚です。もともとマグロを中心とする水産品に強かった昭和食品ですが、鮮魚の扱い拡大が再び脚光を集めています。昨年10月からは東京の築地や大田市場からも鮮魚を調達。大都魚類の協力により毎朝4t車で届けてもらっています。今は西日本の魚を中心に仕入れており、顧客から「最近、魚種が増えたね」、「鮮度が高くてロスが少ない」と高い評価を頂いています。鮮魚も扱うC&C(キャッシュ&キャリー)を昨年4月から日曜祭日営業を始めてからは上向き。C&Cの売上げのうち80%が業務筋、20%は一般客です。
――最終の着地見通しは。
岩田 当初の計画では売上高100億円をめざしていましたが、震災の影響で止むを得ず下方修正。前1月期実績の95億円を下回り、91億円前後の着地を見込んでいます。来期には再度100億円突破をめざします。
――トーホーグループの一員として昭和食品がめざすものは。
岩田 ワンショッピングデリバリーです。全温度帯の加工食品をはじめ、生鮮品、調味料、鮮魚まで扱う特徴を生かし、地域に密着した企業、そして地元の飲食店から頼りにされる卸をめざします。その意味でも全国展開するグループの調達力が生かせると確信しています。
――趣味は?
岩田 ご縁あってゴルフ場の多い栃木県にいるのですから「ゴルフです」と答えたいのですが、残念ながら全くダメ。趣味が「仕事です」というのも能がないですよね。困ったな〜。