この人に聞きたい:第339回
(週刊冷食タイムス:12/05/08号)
前期も過去最高の売上げに
髙橋工業(株) 代表取締役社長 柳井 順氏
(やない・じゅん)機械専門商社から平成11年同社に転じ、常務営業本部長に。2008年社長に就任。昭和19年1月8日生まれ、68歳。
ベトナムでは展示会初参加
トンネルフリーザーの髙橋工業がフリーザーの販売台数を大幅に伸ばしている。前3月期の出荷台数は82台。売上げも2ケタ増は確実の見込み。海外市場の開拓も今までと異なり、新たな展開を狙っている。
――前期の業績は?
柳井 親会社の決算発表前なので詳細は避けたい。
――その前年も大きく売上げを伸ばしている。ここ数年は急激と言っていい伸び率だ。
柳井 おかげ様で10年前から右肩上がりの伸びです。昨年度の出荷台数は中古のリニューアルを含めれば87台にのぼります。前3月期は震災需要もありましたが、決してそれだけではありません。
――というと。
柳井 要因はいくつかあります。前期は冷食、食肉業界大手から大量の仕事が入りました。
――それだけではない?
柳井 さらに、大手コンビニエンスストアのベンダーが賞味期限を延長できる当社の「超鮮度」対応フリーザーを導入したことも大きかった。この分野だけで2ケタの台数を納入しました。これらに加え、震災対応の受注が多数入りました。
――被災した工場に納入した台数は久慈市冷凍水産加工業協同組合など4月までに28台と聞いた。
柳井 御下命いただいた台数が28台で、建築等が遅れている関係でこれから納入が半数あります。このうち半数が新規に導入いただいたユーザーです。ここ近年、水産関係を非常に伸ばしています。三陸でさらに弾みがつきます。水産練り製品の冷却・凍結用トンネルフリーザーも相変わらず需要が高く、大手はもちろん、小規模な工場へも徐々に増えています。
――親会社福島工業とのシナジー効果も?
柳井 当社の顧客が福島工業の機器を取り入れるだけでなく、福島工業を窓口とするトンネルフリーザーの納入実績が上がってきています。
――海外導入実績も出ている。
柳井 ベタグロMFデリ社にタイでは初となるタンク式トンネルフリーザーを納入しました。安全安心なフリーザーの需要は海外でも求められており、それ以外にもいくつか話が進んでいます。
――ベトナムではホーチミン市で6月26日から開催される展示会のベトフィッシュに出展する。
柳井 初の試みです。屋外ブースを使ってスチールベルト式SSJ型トンネルフリーザーを出品します。神戸製鋼所も一緒に冷凍機を出品します。ベトナムではまだ導入実績は少ないが、水産企業が470〜480社あり、いくつか話も来ています。
――いよいよ海外販売の本格展開に乗り出す?
柳井 いいえ。東北の復興需要に当社が多く選ばれたのもそれ以前からキャラバンを組んでミニ展示会などを地道に行なってきたからです。海外も長期戦で考えています。いわば畑を耕している段階。ベトナムには個人的なコネクションもあります。まずは展示会で反応を見たいと考えています。