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この人に聞きたい:第370回
(週刊冷食タイムス:12/12/11号)

「骨なし」背景に上場を準備

(株)大冷 代表取締役社長  齋藤 修氏

(さいとう・おさむ)異業種から同社に転じ営業。専務から、社長として骨なしを軸に債務超過の立て直し。宮古海員学校卒、山形出身、昭和26年9月生、61歳。

工場に出資、経営参加で関係強化

 債務超過で事実上経営破たんした同社の再建に取り組み、来年秋の東証上場準備に入ったことを公表するまでに立ち直らせた。その軸となったのは「骨なし魚」であり「お客様の声に素直に耳を傾けた結果だ」と語る。

 ――「骨なし魚」を武器に業績好調とは見ていたが、上場まで?
 齋藤 上場を決意したのはいまのことではなく、実は当社再建に当たり、様々な事業計画を練り上げたのですが、その時点で「最終目標は上場」と掲げていました。当時、再建を支援し資本提供していただいた加藤義和氏(当時加ト吉会長兼社長)と古田雅彬氏(フルタフーズ社長)から「将来は上場をめざせ」と方向を示され、具体的な指導も受けました。しかし当時、上場ははるか遠くにある夢の夢。心構えと事務的準備はしたものの、私が社長の時代は無理だろうと、実は思っていました。体質を健全化し、規模も社員の質もそれなりにするのが私の役目。上場は私の次の代かと

 ――経営再建の道、決して順調ではなかった。
 齋藤 ゼロどころか、マイナスからの再建。そこで考えたのは大冷という会社の原点。つまり当社は“切り身屋”として認められた会社。そこに後藤さん(健一当時常務、故人)の骨なし魚があった。「これしかない」と骨なし魚にかけた。それでも財務体質は最悪。そこで、仕入先には支払いの2%を4年間助けてほしいと要請。4年で本当に債務超過から脱することができました。一方で社員には賞与を諦めてもらい、役員給与も大幅カット。苦労はかけましたが、主力の社員から退職者が1人も出ませんでした。

 ――何かある、将来を感じた、ということでは?
 齋藤 「骨なし魚」ですね。後藤常務の情熱と、技術力、開発力を磨き続けた社内、協力工場の現場の意欲。破たんした会社をそれでも支えていただいた多くの得意先販売店。多くの方々に支えられてきました。私1人では無理。

 ――工場を持たないファブレスメーカーというビジネスモデルを構築した。
 齋藤 商品開発、品質保証は大冷が責任を持つ「企画開発メーカー」の位置づけは変えません。しかしパートナー企業に工場運営を任せるだけではどうかと。パートナー工場の中には当社製品だけ手がけるところもあります。そこでパートナー企業と当社の安定した関係を確立するため、パートナー企業に資本参加し、場合によっては経営参加もする形に切り替えます。それが原料確保に苦労するパートナーの経営安定、商品供給安定にもなると思います。

 ――一方で骨なし魚は今期も2ケタ増。基盤再構築の時期では?
 齋藤 「骨なし魚」、年間販売量が2億4千万食、この原料扱いが年間4万tともなれば、1社、1チャネルでは調達不可能。関係を強化することでいい製品づくりになります。東証二部上場は再来年秋の予定。みなさんのおかげです。

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