この人に聞きたい:第371回
(週刊冷食タイムス:12/12/18号)
改革で「売る喜び」取り戻す
(株)シュガーレディ本社 代表取締役社長 佐藤 健氏
(さとう・けん)博報堂香港から平成9年同社入り。19年副社長、22年社長。創業者啓次郎氏の長男。慶應大法、米コロンビア大大学院。昭和41年神奈川生、46歳。
人と人のつながりが強み
「改革」3カ年計画の2年目。「まだまだ」と言いつつ、手ごたえも感じている。冷凍食品を主婦が一般家庭に販売する独自のビジネスモデル。一段と基盤を強化するため、従来型にこだわらない取り組みを進める。
――「改革」2年目、成果は?
佐藤 改革の柱は販売する「シュガーレディ」さんの持っている力を生かすこと。商品をしっかり売り、売れる喜びをもう一度取り戻していただく。当社の強みは「人」と「商品」。1万2千名のシュガーレディさんは家庭の主婦。普通の主婦が知り合いの主婦に自信を持って商品をお勧めし、そこで買っていただく。この喜びは人と人とのふれ合いの中から生まれるものであり、その喜び、満足感、達成感をシュガーレディさんに味わっていただきたい。単に数字だけ求めるなら他の業種と変わらない。
――動き、変わってきた?
佐藤 理解してくださるシュガーさんが確実に増えています。しかし、全部変わったわけではない。計画最終年の来年さらに徹底して考えを伝え、実行します。ただ、中には様々な事情から自分で売れない人もいます。そういう方にはお客様の立場に戻っていただく。最初からそう申し上げています。
――取り組みやすくするため、価格を抑えた「シュガーセレクト」シリーズを導入した。
佐藤 記録的売上げの商品が相次いでいます。また「セレクト」の売上げ上位100名の半数はシュガーレディとして経験が短い新人。“売れば売れる”ことがわかってきた人たちでしょう。この動きにベテランも刺激を受け、全体でいいムードになりつつあります。
――シュガーレディ参加率は?
佐藤 70%をめざしていますが、確実に向上してます。中でも湘南は最低で70%、いい時は80%に達します。これはすごい。親父が最初に立ち上げたのが湘南であり、ベテランのマネージャーは「私たちがやらずに誰がやる」という強い意識、プライドを持ってます。元々参加率の高い湘南ができるんだから、他の地域でもできるはず。
――改革、実現の手ごたえは?
佐藤 心と心のつながり、売る喜びを感じあえる組織に来年中に戻します。それまで売上げはあえて求めていません。これができれば“わくわく”するような次の柱づくりに進める。詳しくは申し上げられないが、家族の健康づくりを支援する新しい取り組みです。
――全国紙で通販を告知した。
佐藤 特に「おせち」は問い合わせが多く、2千件の発注がありました。しかし目的は売上げではなく、希望者に近くのシュガーレディさんを紹介すること。同様にネット通販も柱ではありません。
――大野悦史会長(前社長)は全国制覇の宿題を出している。
佐藤 実は団塊世代が定年で人手不足となり、人材確保がいま緊急課題。新規開拓よりまず社員育成を優先し、体制を整えて仙台(宮城)に出ます。仙台では料理教室、通販などを先行展開しています。仕入れ担当者も不足。専門知識と経験のある若手を求めています。