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この人に聞きたい:第393回
(週刊冷食タイムス:13/06/04号)

市販用に異質競争を挑む

米久(株) 代表取締役社長  宮下 功氏

(みやした・いさお)平成2年三菱商事入社。フードリンク(株)、(株)ジャパンファームの取締役。19年米久入り、執役経企室長。20年5月取締役常務執役。5月23日付で社長に。京大農卒、45歳。

後発の立場わきまえ利益も確保

 経営企画室長として策定した第5次中計2年目の折り返しで、社長として中計推進を担う。「市販用冷凍食品に正々堂々と取り組む」と真正面から示す自信は、親会社三菱商事出身というだけではない力強さを感じさせる。

 ――現中計で「コンシューマ商品」や「デリカ商品」の強化を打ち出し、昨年2月には大龍の事業を継承した。
 宮下 米久の冷凍食品は業務用が中心。OEM供給も行ってきましたが、今後はコンシューマ向け冷凍食品を本格的に取り組みます。もちろん後発なので、先行メーカーと同じものでは勝負できない、先行各社にも失礼。その点、当社が事業を継承した「大龍」の中華冷食は他社とは異なるグレードで、しかも大龍商品は中華の大皿料理が得意という特徴を持っています。同質競争では出る意味がない。

 ――中華冷食でアンゼンフーズの事業も取得している。
 宮下 アンゼンフーズは有力メーカーや著名中華飯店のPB冷食をOEM生産しており、関西の有名中華万頭も手掛けています。冷凍中華点心類では実績があります。つまり中華系冷凍食品では相当高い開発力、生産技術力を持っています。2つの特徴ある冷凍食品の資源を生かし、市販用冷食に本格参入します。

 ――米久は“冷凍惣菜”を小売店で販売しているが。
 宮下 マイナス4〜5℃帯の冷凍惣菜類をスーパー店頭で扱っていますが、その市場規模は現状で100億円。一方の市販用冷凍食品は6000億円とケタが違う市場。その1%取るだけでも60億円とかなりの規模。その市場に正々堂々と勝負をかけます。

 ――ねらいは1%?
 宮下 いや、せめて10%(600億円)は取りたい。

 ――市販用は儲からない。
 宮下 その点は先行大手メーカーからもよく聞きますが、我々は後発メーカーという立場をきっちり受け止め、決して無理せず、しっかり利益確保します。「蟻には蟻の戦い方」をわきまえています。

 ――土俵が違う市販用冷食、勝つための根拠は?
 宮下 同グループの三菱食品とは既に協業の話を進めています。グループのCVS等にも広げたい。人脈は持ってます。あるチェーンの厚切りとんかつは当社商品。拡大次第で工場拡張も検討します。

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