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この人に聞きたい:第426回
(週刊水産タイムス:14/01/27号)

北米事業、今年の漁獲サイズに期待

日本水産 常務執行役員水産事業執行  的埜 明世氏

 

 日水USAのフォルカー・クンチ前社長が昨年10月末に退任したことにより、日本水産の的埜明世常務執行役員水産事業執行が同社社長を兼任し、合わせて北米事業全体を管掌している。

 また、クンチ氏が社長を務めていた米国子会社の業務用水産冷凍食品メーカー、キング&プリンス・シーフード(K&P)社の社長は、マーケティング&セールス担当のマイケル・アレクサンダー副社長が引き継いでいる。

 ――水産加工事業を行うユニシー社について。
 的埜 昨年はスケコの歩留りが低く、価格も安かった。スリミやフィレの価格も下落。ダッチハーバーで陸上工場を運営する同社にとっては非常に厳しい1年だった。

 2014年の製品市況は厳しい状態が続くと見られるが、生産面には期待している。

 今年の漁獲の中心となる2008年級群は、スケソウフィレの生産に最適な700〜800g前後(6〜8歳魚)になる。そのサイズであれば、スケコの卵率や卵質も良くなり、品質の良いフィレやスリミが効率よく生産できる。

 ――家庭用水産冷凍食品メーカーのゴートンズ(G)社について。
 的埜 G社は毎年安定的な利益を稼ぐ“北米事業の優等生”と言える企業だが、昨年は苦戦を強いられた。米国における家庭用水産冷凍食品のカテゴリーでシェア争いをしている競合グループと熾烈な価格競争を行った結果、利益率が落ちた。

 同カテゴリーの市場規模は前年(2012年)に比べて約2%増加したが、同社の営業利益は大幅に減少した。

 2014年も引き続き競合グループとの激しいシェア争いが予想されるが、今年は戦略を変更し、売れ筋の定番商品への絞りこみを行い、生産効率を上げて、利益率の改善を図りたい。

K&P社は売上げ増で改善基調

 ――K&P社について。
 的埜 K&P社の業績は長年低調に推移していたが、昨年は売上高が増えて、改善基調にある。既存顧客の大手外食チェーンだけでなく、米国各地の業務用問屋への販売を強化したことが増収につながった。しかし、売上高の5割を占めるエビ製品の原料価格の高騰が利益を圧迫した。

 景気回復の兆しは見られるが、米国の外食市場自体はまだそれほど良い状況と言えない。今年は業務用問屋への販売をさらに拡大し、売上げアップを図る。また、原料が高騰しているエビ製品への依存度を下げて、その他の魚やスリミを原料にした製品をバランスよく販売していく。

 しっかりと利益がとれる“良質な売上げ”を増やすことで、何とか今年は黒字化を果たしたい。

FWブライス
増収増益で好調

 ――コモディティ(原料)販売を行うFWブライス社について。
 的埜 昨年は増収増益と好調だった。全米各地の業務用問屋への営業を強化し、深堀りすることができた。

 主要品目は白身魚(マダラやハドック、スケソウダラなど)、カニ(特にズワイガニが得意)、サーモン(チリ・ノルウェー産)。同社の利益率は低いが、毎年着実に売上高を伸ばしている。今後は調達先を増やし、品揃えをさらに強化していく。

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