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この人に聞きたい:第428回
(週刊水産タイムス:14/02/10号)

築地で「クールノヴァ」セミナー

ノルウェー・トロムソ大学 教授  トルビョルン・トロンドセン氏

 

ノルウェーの新冷凍・解凍技術を紹介

 ノルウェーのトロムソ大学のトルビョルン・トロンドセン教授は東京・築地市場で、同氏が開発した新しい冷凍・解凍技術「クールノヴァ」(以下CN、特許技術)のセミナーを1月31日開催した。同氏と親交が深い政策研究大学院大学の小松正之客員教授が通訳としてサポートした。

 トロンドセン教授は水産業界の課題として「新鮮な魚を年間通じて、低コストで安定供給することが重要」と語り、その解決策のひとつとして新技術CNを紹介した。

 CNは乾燥水ミストを利用した冷凍・解凍技術。同氏が共同創設者としてドイツで立ち上げた会社、クールノヴァUGが同技術の国際特許を取得している。

 同氏は解凍性能の高さを強調し、「(解凍後の)ドリップロスがなく、重量変化が少ないのが特徴。品質や味、におい、見た目は冷凍前の新鮮な状態が保持されている」と語った。現在、フランスやノルウェー、中国、中東など世界各地でCNを使った解凍試験を実施しており、高い評価を得ているという。

 「(乾燥水ミストの噴霧により)対象物表面の湿度均衡を保ち、ドリップの原因となるタンパク質の変性や分解を起こさない。また、解凍時に表面のpH値を7前後に保つことで保水力を高める効果がある」と同氏は説明した。

 CNの利点は冷凍・解凍時の鮮度・品質保持能力だけはない。水やエネルギー使用量などのランニングコストの低さも特徴のひとつ。1000kgの食品の解凍に使用する電力は10.5kw。そのほか、レストランから食品工場まで規模を問わず柔軟に対応できる点を利点として挙げた。
 
 トロンドセン教授は「(CNの導入により)新鮮な魚の鮮度落ちによる損失を30〜40%削減し、ドリップロスは通常の解凍よりも3〜10%減らすことができる。また、旬の魚を冷凍・解凍して提供すれば、年間を通じて新鮮な魚を売ることができる」と水産業界の課題解決に貢献できることをアピールした。

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