この人に聞きたい:第454回
(週刊冷食タイムス:14/08/19号)
顧客サポートを徹底
(株)ナックスナカムラ 代表取締役社長 前田 一郎氏
(まえだ・いちろう)慶応大卒後、1975年丸紅入社。99年食品部長、03年食料部門長補佐からナックス副社長。07年丸紅ブラジル社長などを経て、12年4月から現職。51年10月26日生まれ。
価格だけに頼らない売場提案
今年4月に顧客をサポートする「全国市販用会議」を立ち上げ、価格だけに頼らない売場づくりの提案を進めている。前期は未達に終わった売上高1000億円に再チャレンジする。また2年連続の経常利益率1%超をめざす。
――前3月期は売上高1000億円、経常利益率1%を目標に掲げていた。
前田 関連会社ワールドデイリーフーヅの売却や、昨年末の農薬混入事件の影響などで、売上高は948億円と1000億円の目標は未達に終わりました。しかし経常利益率については1.03%と目標を達成。物流受託は1000億円の目標に対し、1100億円と順調に拡大しました。
――好調だった分野は。
前田 顧客をサポートする組織「全国業務用(惣菜)会議」の立ち上げから1年を経て、スーパー惣菜が新規拡大を含め好調で、業務用冷凍食品は5.4%増と大健闘しました。売上高の4割を占める市販用冷凍食品は2%増、アイスは4.7%増と順調に拡大しました。
――今期の販売動向は。
前田 4〜6月の実績でアイスは6.5%増と好調でしたが、7月に気温が低くダウンしています。業務用は1.3%増、市販用は農薬混入事件と増税で若干苦戦しているがほぼ予算通り、トータルでは微増で推移しています。
――今期の課題は。
前田 徹底したリテールサポートで、卸機能の差別化を図ります。全国業務用会議に続き、今年4月には「全国市販用会議」を立ち上げ、価格だけに頼らない売場づくりの提案を進めています。また需要が伸びている生協の共同購入、いわゆる宅配事業をさらに強化していきます。
――投資計画は。
前田 物流受託の拡大に伴い30数カ所あるセンターの再配置も視野に入れながら、システム関連に投資する計画です。フードディフェンス、危機管理について改めて問われていますが、製配販三層それぞれの段階で食品安全確保の意識を高めて在庫管理等に取り組むことが重要です。
――コンビニエンスストアの冷凍食品の動きは。
前田 CVS大手3社の勢いは依然継続しています。即食性が高く、少量パックものがある冷凍食品とチルド食品は今後も期待できます。