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この人に聞きたい:第491回
(週刊水産タイムス:15/05/18号)

東北のたらこ、絶やさぬように

(株)万石の粒 常務取締役  高城 俊博氏

 

 昨年7月にトライデント・シーフード・アジア・インク日本支社と笹かまメーカーの高政が合弁で立ち上げた会社。米国アラスカ産洋上加工の鮮度抜群のスケコにこだわり、贈答用を中心としたたらこや明太子を製造している。新会社の立ち上げから、工場の運営、製造管理など同氏が陣頭指揮を執って進めてきた。

 もともとは、石巻のたらこメーカー・福丸水産の社長を務めていた。

 東日本大震災があった2011年2月に、創業者で前社長の父が脳梗塞のため急逝。二代目社長として船出した矢先に、震災に見舞われた。従業員は全員無事だったが、本社工場は壊滅的な被害を受け、自力での再建を断念せざるを得なかった。そこに手を差し伸べたのが、スケコの原料供給で取り引きのあったトライデント社の鈴木支社長だった。11年8月にトライデント社に入社。たらこ屋としての長年の経験を生かしてたらこ・明太子の生産管理や営業を担当した。

 東北・石巻は、かつて日本一のたらこ生産量を誇る生産地だった。その中でも、福丸水産はアラスカ産洋上物原料にこだわり、高品質のたらこを生産するメーカーとして知られていた。

 「たらこ・明太子のおいしさを改めて見直してもらえるような製品を作るのが当社の使命。かつて日本一だった東北・石巻のたらこ生産の火を絶やさないようにしていきたい」と強い思いを語る。

 昨秋から工場を稼動し、ようやく今春から生産が軌道に乗り始めた。トライデント社と高政の協力を受け、販売は順調に伸びている。

 「洋上物原料の特性を生かした品質重視の商品を増やしたい」と語る。

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