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この人に聞きたい:第496回
(週刊水産タイムス:15/06/22号)

太平洋クロマグロ 資源管理強化を

東京海洋大学 産学・地域連携推進機構准教授  勝川 俊雄氏

(かつかわ・としお)東京大学農学生命科学研究科で博士号取得。三重大学准教授を経て今年4月から現職。専門は水産資源学。東京都出身。42歳。

 「漁獲規制と産卵場の保護を行って、太平洋クロマグロの資源を回復させた国になるか。それとも、このまま獲り続けて、太平洋クロマグロを食べ尽くした国になるか。日本はいま分岐点に立っている」

 先月、東京都内であった水産資源管理をテーマにしたシンポジウムで、太平洋クロマグロの資源問題について講演し、こう語った。

 昨年11月、国際自然保護連合は絶滅の恐れがある野生生物を指定するレッドリストで、太平洋クロマグロを「絶滅危惧」に指定した。世界最大の消費国である日本の危機感はもともと強く、その直前の9月、中西部太平洋まぐろ類委員会の小委員会で議論を主導し、2015年から未成魚(30s未満)の漁獲量を2002〜04年平均の半分に減らす内容で最終合意。今年1月から規制強化が始まった。

 だが、「資源が豊富だった10年以上前の漁獲量の半分にしても」とこれに疑問を挟み、「半減させた漁獲枠(4007t)に、日本は過去3年間達していない。これで資源が回復するとは思えない」と述べた。「やるなら直近の漁獲量の半分にすべきだ」と主張する。

 さらに、「産卵場での待ち伏せ操業が資源の減少に影響を与えている」と指摘した。太平洋クロマグロは広域に分布するが、産卵場は沖縄周辺と日本海の2カ所。「2004年ごろから日本海に卵を産みにきたクロマグロを待ち伏せしてまき網で獲るようになり、漁獲量が跳ね上がった」。産卵期の2000tという業界の自主規制はあるものの、「あまり効果はないのでは」と話した。

 「残された時間はあまりない」と早期の対応を訴えた。

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