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この人に聞きたい:第513回
(週刊水産タイムス:15/10/26号)
攻める水産業で輸出拡大
水産庁 長官 佐藤 一雄氏
「魚種ごとにいろんな課題があるな」。長官に就任しての第一印象だ。水産庁での仕事は初めて。これまで畜産畑が長かった。
日米など12カ国が大筋合意した環太平洋経済連携協定(TPP)が発効すれば、日本に輸入される水産品にかかる関税が、最終的にはほとんど撤廃される。「漁業補助金が維持されたことは一安心。だが、関税が下がっていくことについては、漁業者にしっかり説明し不安の払しょくに努める」。
その上で、水産物の輸出の拡大に意欲を示す。「例えばベトナムは、TPPにより輸入関税が大幅に下がる。輸出先として有望な市場だ。和食ブームの追い風に乗り、攻める水産業を目指す」と頭を切り換える。
実家が農家だったこともあり、自然と農水省を選んだ。
2010年8月、宮崎県で牛や豚約30万頭が殺処分された家畜伝染病・口蹄疫(こうていえき)が発生した際、畜産部長として対応に奔走した。被害を受けた畜産農家に対し、全国の畜産関係団体などから支援の申し出があった。
東京電力福島第一原発の事故の影響で、肉牛にえさとして与えられる稲わらが放射性セシウムに汚染されていたために多くが処分されると、今度は口蹄疫で被害を受けた宮崎・川南町の畜産関係者がえさを持って福島に応援に駆けつけた。「皆で助け合う精神に、(処分は)辛かったけど感動した」。
趣味は骨董市で掘り出し物を見つけること。好物は「カツオの酒盗」。歯切れの良いしゃべりっぷりから江戸っ子気質を思わせるが、「本当は長野の人間なんだけどね」と笑う。8月から現職。早大卒。57歳。
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