この人に聞きたい:第573回
(週刊冷食タイムス:17/01/24号)
コンビニコーヒーが底支え
(株)ニチレイ・アイス 代表取締役社長 木村 直司氏
(きむら・なおし)平成2年ニチレイ入社。支社、広域営業部22年。24年上海日冷で内販営業から日冷食品貿易(上海)総経理。27年4月同社に転じ社長。昭和40年7月長野生まれ、立大経卒。
冬場需要、間違いなく拡大した
寒くなれば売れにくかったのが包装氷。しかし寒くても氷を使うようにしたのがコンビニのアイスコーヒー。ニチレイ・アイスは包装氷を「食品」として取り扱い、冬場需要の掘り下げにも努めている。
――包装氷、今期は?
木村 まずまずです。コンビニアイスコーヒーの効果で需要が大きく広がったことは確かです。コンビニコーヒーはシルバー層にも好む人が広がりを見せ、堅調です。
――御社売上げも?
木村 製氷業界全体で長期低迷期間がありましたが、新需要が入ったことにより、伸びたというよりも下げ止まった、というのが正直な印象。家庭の冷凍冷蔵庫の製氷室で作る氷よりも、包装氷は溶けにくく、飲み物に使うと「おいしい」と必ず評価されます。データを分析すると、焼酎好きは特に包装氷を使っているという動きも浮かび上がってきます。しかし、広く皆さんにいつでも買っていただけるかというと、なかなか難しい。
――需要期の昨年の夏は?
木村 夏場は天候にも左右されて昨年はあまりいい動きではなかった。特に西日本は暑さが続きましたが、東日本は気温が低かった。でも夏以外のシーズンに安定して伸びたので、ならしてみれば、少し底上げされたか、というところです。
――物流が気になる。
木村 包装氷は単価が低いので、物流コストが大きな問題となります。単価は上がるどころか、厳しいです。しかし昨年は特に大容量の包装氷がよく出ました。男性客の利用でしょう。なにしろ包装氷をご購入いただくことが我々には大事。
――では冬場対策は?
木村 製氷業界にとって冬場はどちらかというとメンテナンスの時期だったんです。装置産業だけにメンテは非常に大事。でも最近は冬場でも需要がそこそこあります。これが市場の底支えとなっていることは間違いない。
――包装氷業界の未来は?
木村 米国を視察している間に「フレーバーアイス」を見たことがあります。氷なので強い香りはつけにくいんですが、透明な氷の塊というだけの印象から変わりました。我々も新しい商品開発を進め、市場のイメージアップを図る必要があります。