この人に聞きたい:第582回
(週刊水産タイムス:17/03/27号)
クロマグロ管理見直しを
長崎県壱岐市勝本町漁協 中型船組合代表 原田 広治氏
(はらだ・こうじ)長崎県壱岐市出身。1967年11月生まれ。フェイスブックなどを通じて、「産卵期のクロマグロを守ろう」と発信するなど、資源管理に強い関心を持っている。
日本沿岸の太平洋クロマグロの資源管理が厳しくなっている。沿岸漁業は5ブロックと定置網に分けて水産庁が管理しているが、漁獲上限の9割5分に達し、操業自粛要請の発出が続出している。
国際的にはクロマグロの資源が激減しているとされるが、日本では豊漁が続き、沿岸漁業者からは「漁獲枠が少な過ぎる」と不満が噴出している。
「国内の沿岸漁業に対する、小型クロマグロの漁獲割り当ては年間2007t。これを釣りと定置を足した2万6661で割ると、1隻(施設)当たり年間75sとなる。つまり、10sの小型魚を年間7本漁獲すれば漁が終了してしますほどの、わずかな漁獲枠だ」。
今月、東京都内であった「沿岸漁民の視点からクロマグロの漁獲規制を考える」をテーマにしたフォーラムで、こう訴えた。
「地元ではスルメイカの不漁でマグロ漁にシフトし、依存度が増している。規制緩和か減収分を補填してもらわないと、経営が続かない。資源が回復しても、漁業者がいなくなれば本末転倒だ」とも主張した。
巻き網漁業も沿岸同様、小型クロマグロの規制強化を受けているが、「影響は少ない」と指摘。「巻き網漁で漁獲された小型魚は近年、蓄養種苗として供給されており、生鮮で売る場合より8倍も高く売れる」からだ。
地元の壱岐地区(長崎県)では、産卵期のクロマグロの自主禁漁に取り組んでいるという。「6〜7月に日本海で産卵するクロマグロを対象とした巻き網漁こそ問題だ。腹に卵を抱えた産卵魚を無制限に獲り続ければ、いくら小型魚の規制を強めても意味がない」。