この人に聞きたい:第589回
(週刊冷食タイムス:17/05/23号)
5年後200億円めざし
共栄フード(株) 代表取締役社長 山本 泰也氏
(やまもと・やすなり)2月1日付で社長に就任。今回の改革は「社長が代わった時がよいタイミング」と。早稲田大学法学部卒後三井物産に。2015年から共栄フード常務。1953年12月生まれ、63歳。広島出身、カープファン。
生産と組織を基盤整備
2月に社長に就任。今年、国内外にパン粉工場を新設する。「抱負は『負を抱く』と書く。決して悲観的な意味ではなく、借金も責任も背負う危機感を持っていく」と果敢に基盤整備に挑む姿勢を見せる。
――まず目標から。
山本 5年後に国内外のグループ全体で売上げ200億円を計画している。
――海外の伸びに期待するところが大きい?
山本 それもあるが、群馬県伊勢崎市に建設中の北関東工場が10月に稼働予定で、これを機に国内もシェアアップしたい。基盤整備の一つであり、東京工場の負担を減らす目的もある。昨今は超過勤務や正規社員雇用の問題もあり、できるだけ残業を減らしていく。当社は多くの工場が老朽化しており、計画的に今から整備していかなくてはならない。今期が創業50周年ということもある。
――東京工場には焙焼設備がなく、今までは東北工場から持ってきていた。
山本 北関東工場は関東のパン粉の供給工場の位置づけで、焙焼、電極式パン粉がそれぞれ日産8tの能力。粉砕、乾燥ラインも持つフルライン工場で、東北からの配送に比べ物流コストを低減できる。なにより、首都圏は人口が増えておりインバウンド需要も多く、ファンダメンタルはいい。
――北関東の中でも伊勢崎に建てた理由は?
山本 多くの企業の物流拠点で、交通の便がいい。横浜には1時間半、北陸もこれまでより近くなる。コスト削減には物流の再編が必須。東北から持ってきていたのは震災の影響もあるが、それだけ関東圏の需要が大きくなっているということでもある。パン粉は薄利なので、できるだけ生産性を高める必要がある。
――東北工場の稼働は大丈夫?
山本 東北は冷食メーカーの大型工場の新設が相次いでおり、需要は完全に震災前に戻っている。
――海外も伸びている。
山本 タイはえびフライがなかなか戻らないが、いかや畜肉製品向けの需要があり前年実績は上回った。ベトナムのVFKは2ケタ増と好調で、6月上旬にダナン工場を新設。下期から戦力に加わる。
――社内体制も見なおした。
山本 今期から総合職への職掌変更や昇格、異動、人事の刷新をした。モチベーションアップも期待できる。組織も見直し、大阪にあった原料・施設関係の機能を本社に集中した。私の席の左右に営業本部長と製造本部長の席を配置し、両本部の風通しも良くした。