この人に聞きたい:第602回
(週刊冷食タイムス:17/08/29号)
最優先課題は生産の再編
テーブルマーク(株) 代表取締役社長 川股 篤博氏
(かわまた・あつひろ)昭和59年日本専売公社入社。平成15年上海穫実食品出向。18年JT食品事業本部事業企画部長。20年たばこ事業本部中国事業部長、21年執行役員。昭和36年8月福島生まれ、東北大学法学部卒、56歳。
魚沼の新工場に省力ライン導入
JTから異動し、副社長から社長に就いて1年8カ月。「初年度は課題を感じながら歩き、2年目は全事業所を回りながら手を打ってきた」。さて今後は。
――何を課題と感じ、これからどう動こうとしているのか。
川股 1年目にコスト管理体制を整えるため、何に集中すべきか決めて取り組んだ。利益管理、製造、歩留まり、原価などいくつかのプロジェクトを立ち上げました。一番の優先課題は工場の製造能力アップ。しかもフロン対応の時間が限られている。いずれも相当な投資を伴う。やる以上は投資効果も求めたい。一方で、強みがあるからとはいえ、冷凍うどんをいくつもの工場に分散して生産する仕組みはどうなのか。いろいろ検討し、練り上げ、JTに「これだけ欲しい」と要請しました。
――巨額の投資、認められた。
川股 工事中の新潟魚沼水の郷の第二工場はその一つ。冷凍うどんの製造能力が従来の8000食から1万2000食(毎時)にバージョンアップしたものを3ライン入れます。人手不足対策にAI(人工知能)、ロボットなどを多数導入します。人手はこれまで1ラインに5名張り付いていたのを1名にしろ、と求めたんですが、3人になります。魚沼水の郷第二工場で冷凍うどんを大量生産できるので、生産の再編が進む。
――加ト吉時代から国内工場は長年手つかずになっていた。
川股 うどん以外でも各工場はギリギリ、パッツンパッツン状態が続いてます。これがパズル式に解消できる。基本的に大量生産品と付加価値型、前処理工場は機能を分けて配置したいと思います。
――ホールディングと事業会社のトップを兼務しているが。
川股 全体を見渡しながら事業会社を見られる。全体が見えなければ部分最適にもなりません。
――営業面ではステープル(主食領域)を攻め続けているが。
川股 メインの単品大量型はステープルでいく。そのためには他を凌駕するコスト競争力も必要。パックごはんも供給量として全国トップになりました。パンも徐々に定着しつつある。
不採算部分は切り捨て、商品力を強化しながらトップライン(売上げ)を伸ばす。一方で、水産フライやコロッケ、中国からの開発輸入品などはいろいろな理由と背景で失った。これを立て直すには時間がかかります。売れるとなれば残業しても作り、売ってきた会社だが、無理に作ることはやめさせました。それを他の手でカバーするのが時代であり、経営だと思います。