この人に聞きたい:第603回
(週刊冷食タイムス:17/09/05号)
施策を的中、最高益を実現
(株)ニチレイフーズ 取締役会長 池田 泰弘氏
(いけだ・やすひろ)昭和54年日冷入社。営業畑を歩み、東北支社長から商品本部長、常務執行役員、平成23年4月社長。前期史上最高の売上げ、利益を確保。4月会長。昭和31年8月愛媛県伊予大洲市生まれ、明治大商卒。
全国で対話深め、社内の空気変わった
東日本大震災が発生した11年4月社長。6年務めてこの4月会長となった。通信簿となる前3月期は売上げ、営業利益とも史上最高。表情に満足感が漂う。
――6年で社長交代、まだ早すぎる気がするが、成果はしっかり出しましたね。
池田 6年という期間があったからやれたことが多い。前半3年は地ならしに終始し、意図したことが成果につながらなかった。後半3年は成果につながりました。
――何をどう意図した?
池田 目的は2つ。「収益力アップ」と「明るく元気な会社にする」こと。目的に沿う結果が出ていますが、それが完成形とは思っていません。あくまでも通過点。
――前3月期は見事だった。
池田 営業利益が100億円を突破できた。利益率5%超えは評価されると思っています。利益率5%は以前からめざしてきたが、社長に就いて前半3年間は逆に下がった。それが5%を超え、6.8%を確保できたのは、施策がかみ合い、パワーを結集できたことにつきる。為替等の環境にも恵まれました。諸々条件がかみ合えば高い目標も実現できるということを実感したのが大きい。
――目標到達力が伴ってきた。
池田 実は利益率6.8%は想定より早い。私の代は飛躍できる基盤を固め、次の代に実現してもらおうと考えていた。大櫛顕也社長も通過点という認識は同じ。就任会見でも「10%をめざす」と語っていましたね。
――いわば発展途上だと。
池田 やり尽くしたとは思いません。整備すべきもの、低収益商品の整理も残っている。それは伸び代があることも示しています。
――事業部制に切り替えたが。
池田 意識を変えるには組織改革だと。事業部制にしたところ、ねらいがはまった。対外的には得意先対応力、業種ごとの専門性が高まった。仕事の仕方が変わり、社内で連携、連鎖できるようになりました。
――社内の雰囲気も変わった。
池田 「明るく元気に」を公約として打ち出した成果が表れつつあります。「ハミダス」を共通用語にしてヨコの連携が深まり、タテのハミダス効果で上下間の議論が活発に行われるようになりました。社内の意識改革のため「あぐら」集会も全国で6年間に約5000人と行い、これで風通しが変わった。
――大櫛社長を後任としたが。
池田 人間力、動じない、おおらか、バランス、堅実、判断の的確さ、公平、謙虚、若さ。特に謙虚が重要。かなり前から後任と決め、準備させてきました。