この人に聞きたい:第611回
(週刊水産タイムス:17/10/30号)
販売拡大へ資源アクセス強化
ロイヤルグリーンランド社 最高財務責任者(CFO) ニルス・キナラップ氏
日本とデンマーク王国の外交関係樹立150周年を記念して10月訪日したフレデリック皇太子夫妻とともに、ビジネス代表団の一員として来日。2008年から同社CFOを務める。
ロイヤルグリーンランド社はデンマーク王国グリーンランド自治政府が100%出資する水産会社。“The North Atlantic Chanpion"(北大西洋の王者)の看板を掲げ、漁業から加工、販売までを一貫して行う垂直統合型企業として、グリーンランドで獲れる水産物を中心に世界中へ供給している。
主要商材は甘えび、カラスガレイ、ズワイガニの3魚種。日本では3魚種主体に、約100億円を販売している。
グリーンランドの水産業の特徴は「厳格な資源管理」「近代的な漁船による漁獲」「徹底した品質・衛生管理」。最大の販売先は欧州(6割)で、日本を含むアジアは3割。
「欧州は安定したマーケットだが、伸びしろが大きいのは日本を含めたアジア」とアジア市場への販売拡大をめざしている。
課題は原料アクセスの強化。
「グリーンランドの水産資源は安定的だが、将来的に漁獲枠が大きく増える可能性は低い。販売を拡大するため、原料の調達先を充実させることにも注力している」
2015年にはカナダ・ニューファンドランドでカニやエビなどを加工するクインシーフィッシャリーズ(QF)社を買収した。
「QF社を足がかりに、カナダでのビジネスを拡大する。QF社の買収により、当社グループのズワイガニの取扱シェアは世界全体の約5%になった」と期待する。
対アジアの売上高を3年後に20億デンマーククローネ(約360億円)にするのが目標だ。
「対アジア販売を増やすには、カナダやバレンツ海への投資なども検討し、資源アクセスを強化する必要がある。日本市場では当社のマーケットシェアを高めたい」と意欲を示す。