この人に聞きたい:第623回
(週刊冷食タイムス:18/01/30号)
商品ラインの拡充が増収に
昭和冷凍食品(株) 代表取締役社長 佐藤 誠氏
(さとう・まこと)昭和56年昭和産業入社。研究所を経て分社する平成14年同社取締役生産統括部長、17年社長。グループ会社社長、商品開発センター所長から26年4月再び社長に。東大農芸化学卒。昭和32年5月秋田生、60歳。
ニッチ市場に差別化商品で勝負
昭和冷凍食品はラビオリ・ワンタン、プチケーキなど競合が少ない商品を得意とし、国内生産を貫くユニークなメーカー。昭和産業グループとして製粉を全て主原料とする点も特徴的。
佐藤氏は同社2度目の社長。
――前12月期の着地見通しは?
佐藤 売上げは前期比2〜3%減だが、利益は前年並みを確保できそう。減収は冷凍生地と主要製品のたこ焼が伸び悩んだため。
――人手不足を背景に冷凍生地の需要は伸びているはずだが。
佐藤 インストアベーカリーでは確かに人手不足だが、冷凍生地は発酵工程がないものの、仕上げるまでには手間がやはりかかる。また原料高に伴い不採算アイテムを整理し、無理に売りを伸ばさなかったことも減収につながった。
――たこ焼は安定している?
佐藤 CVS、量販店、外食などの留め型商品の需要は安定しています。しかし末端の販売現場ではたこ焼に対するアイテムの絞り込みが行われています。原料たこの調達もかなり厳しい。そこで無理しなかったので減収となった。
――では良かったのは?
佐藤 ラビオリ・ワンタンはトントン。昨春発売した「金蘭」などの効果もあり、既存販路だけでなく新規販路も広がりました。プチケーキは昨年追加したチョコバナナなどの効果で下げ止まりとなり、底上げにつながりました。
――プチケーキは自然解凍対応が人手不足対策になっている?
佐藤 自然解凍が評価を高めています。惣菜売場だけでなく、高齢者施設などでも便利だと利用が広がっています。商品ラインナップの拡充がプラスしています。
――本社工場(新潟市)の商品が総じて健闘している。
佐藤 委託生産するたい焼、今川焼も伸びています。この種の和風スナックを生産できるところがあまりないので、当社に引き合いが強くなっています。目新しい商品ではないんですが、今後も安定供給するために、長期的な計画を立てて生産力の維持に努めます。
――長期的な生産計画とは?
佐藤 ラビオリなど他社にない商品を手掛けていますが、生産ラインは見直す時期。しかし成型機などは外国産。いつ、生産量は、省人化などあらゆる条件を加味しながら計画的に取り組みます。
――現場の人事交流で効果を挙げている、と聞くが。
佐藤 本社工場は冷凍生地と冷凍食品の2つを手掛けているが、それぞれ入り口が違うし。事業の生い立ちも管理手法も、そもそも異なります。しかし従業員同士の交流を進めたら風通しが良くなり、多能工化が進んでいます。