この人に聞きたい:第634回
(週刊冷食タイムス:18/04/17号)
「ステータス上げる」
日本水産(株) 代表取締役社長 的埜 明世氏
日本水産的埜社長、正しい人事と処遇守り
日本水産は3月15日付で就任した的埜明世社長の会見を11日開き、的埜新社長は「食品業界におけるステータスを上げたい。駅伝に例えれば自分の与えられた区間で1つでも順位を上げる」など抱負を語った。
就任にあたっての抱負は「役職員一人ひとりが昨日よりも良い会社になることを考えられる会社にしたい」と表明した。
「トップで優秀な人たちが何人か努力しても当社は単体で1200人、連結で8000人の社員がいるのであり、その一人ひとりがちょっとでも良くしようとした方が必ず良い会社になる。もちろんベクトルを合わせる必要がある」というのが趣旨。
やり遂げたいこととしては@ニッスイの食品業界におけるステータスを上げるA後継者を育てるB役職員に対しては正しい人事と正しい処遇をする――の3点を挙げた。
前期の業績については速報値ながら売上げ6770億円、営業利益は240億円の見込みであることを明らかにした。今後の業績目標についての質問に対しては「売上げにはこだわらない。それより利益を重視する」考えを示した。利益に加え社会から信頼される価値ある会社をめざし、新たなことにチャレンジする方針。CSR、ガバナンス重視の方向性と言える。
具体的には、ぶりの養殖で世界初のASC認証を取得したことなどを挙げ、MSC、ASC認証の積極的な活用を図る。本まぐろの完全養殖の成功についても「それだけではだめで、餌などで差別化を図る」方針。EPA関連商品など新たな健康関連食品の分野にも期待を寄せた。
「こだわり、高める」経営を
2018年度のめざす方向として「『こだわり、高める』経営」を掲げた。
収益や規模だけでなく、@独自の技術の追求(おいしさ・健康)A社会課題への対応(環境保全・持続可能性など)B従業員のやりがい・幸せC先進的な技術を取り入れた業務への転換(IoT・AIなど)――を実現することで企業価値の向上をめざす。
水産事業は、持続性を重視した水産資源へのアクセス・創造、高付加価値を追求し、環境変化に強い事業構造をめざす。
食品事業は「新たな価値の創造と変革のために総合力でチャレンジする。変化に敏感に反応し、その先を見据えた新たな価値を提供し続けるメーカーをめざしたい」(同)。
新しい価値の提案、生産能力の増強、変化するニーズに対応した商品の開発を行う。具体的には、好調なカテゴリーをさらに拡販するとともに、健康訴求商品群の強化、冷凍野菜事業の拡大を図る。