この人に聞きたい:第636回
(週刊冷食タイムス:18/05/08号)
海外市場を掘り下げる
アサヒ装設(株) 代表取締役社長 山本 洋志氏
(やまもと・ひろし)テック勤務を経て昭和50年アサヒ装設入社、62年5月から現職。金沢出身、24年6月生まれ、68歳。横浜国立大機械工学科、東京工業大大学院機械物理卒。趣味は「あえて言うとパソコン、ドライブ」。
日本発・世界初の製品作りに挑む
フライヤー等を開発製造するアサヒ装設。山本洋志社長は自ら、海外の展示会にも足しげく通い市場調査に余念がない。社内に新たに研究所も立ち上げた。
――ドイツで3月開催のアヌーガフードテックを視察したとか。
山本 2日間かけて回りました。調理食品全般が対象で、コンベヤメーカーが多く出展していたのが印象的でした。私の知らないフライヤーメーカーも数多く出展しており、展示内容が充実してきたと感じました。
――海外視察に積極的だ。
山本 海外の展示会は大型機械が出展されている一方、ろ過機やポンプ、水分計、モーターなど小さな部材やパーツも展示されているから興味深いです。昨年末はコロンビアの展示会にも行きました。コロンビアは当社の機械がマッチするマーケットです。一方、米国やヨーロッパは市場が成熟し、生産規模も大き過ぎます。
――どういうこと。
山本 例えばチキンナゲットを生産する場合、当社フライヤー処理能力は1時間当たり最大500kg程度ですが、欧米では数トン規模の生産能力が求められます。当社機械にマッチするのはタイや南米のマーケットと見ています。
――生産能力では競わない、とすれば強みはどこにあるのか。
山本 当社はフライヤーやオーブンはもとより、プレート式成形機からミキサー、スチーマーまであらゆる機械を開発しています。バッチ式から連続式までどのようなことにも対応します。お客様に寄り添うスタイルが強みといえるかもしれません。
――今後も海外事業が主体か。
山本 私自身これまで海外マーケットを中心に動いてきましたが、足元を見つめ直して製品開発の原点に立ち返ろうと思います。今年、社内に新製品開発の研究所を立ち上げ、所長を兼任しました。これまでは調理用の道具、いわば最高級ツールを提供し「真のおいしさを作るのはお客様です」としてきましたが、やはり機械メーカーが今一度おいしさを求めないといけないでしょう。
――ツールを提供するだけの役割を乗り越える必要がある。
山本 はい。おいしくても味が画一的にならないようにすることも大切です。お客様がひと味工夫できる余地を残したい。日本の炊飯器メーカーは釜の厚さを微調整してご飯をおいしく炊けるようにしています。そういうのを見ると我々もレベルアップしていかなければと思います。今一度、日本発の世界初という画期的な製品開発に挑戦します。