この人に聞きたい:第637回
(週刊冷食タイムス:18/05/15号)
改革、やり続けることが重要
(株)ニチレイフーズ 代表取締役社長 大櫛 顕也氏
(おおくし・けんや)昭和63年入社。平成22年ニチレイF商品本部部長、23年事業統括部長、25年ニチレイ経営企画部長、26年執行役員、27年ニチレイF取締役常務執役、昨年4月社長。昭和40年1月15日生、九州大学農学部卒。
利益率10%は発想の転換で
過去最高の売上げと利益を残して会長に就いた池田泰弘前社長に代わり1年前に社長を引き継いだ大櫛顕也氏。公表されたばかりの前期決算では増収増益とし、成長軌道を維持した。これまでの総括と今後を聞いた。
――この1年、行ったことは?
大櫛 まず社内のコミュニケーションを重視し、国内外の事業所・工場に出向いて私の考えを直接話しました。池田会長が始めた社員との対話「あぐら」を継続しています。また役員も若返ったので土曜日1日かけて意見交換も行いました。考え方、価値観はほぼ同じだと思っていたんですが、話してみないとわからないことが一杯ありました。中計は3年に一度であり、業績は常に情報を共有しているので、業績以外が話題です。いま何をしなければいけないのか、何を次世代に引き継ぐのかなど。
――例えば?
大櫛 今後も踏襲すべきこと、変えるべきことなど。何か新しいものに取り組みたい。仕事の仕方でももっといい方法がないか、と。
――池田さんの代に商品を大きく変え、業績も非常に良くなった。
大櫛 事業部制にしたのも大きな改革。工場にも大型投資し、利益率を改善しました。また社内風土改革にも力を入れていただきました。私は高いところで引き継いだので大変ですが、企業、事業をもっと良くするためにやるべきことはまだまだある。大事なのはやり続けることだと思っています。
――冷凍食品の市場環境が変わった。特に評価が良くなった。
大櫛 「そこまでするの?」というところまで工夫し改善を重ねてきた。何より利用者の目でモノづくりするようになり、品質が良くなってきたためでしょう。
――前期も増収増益で事業の成長を持続できた。
大櫛 タイバーツ高、原料米の値上がりをはじめアゲインスト要素は多数あったんですが、私自身もよくやったと思ってます。中でも「本格炒め炒飯」は単品で100億円を突破、自信になります。
――利益率10%にこだわる、と就任会見で強調したが。
大櫛 営業利益率が2〜3%の時代に5%をめざす方針が出た。それは無理と私も思っていたが、池田社長の時代に実現した。仕組み、体制、発想を変えたから。ではその倍の10%にするためには。様々なことを変えないとそれはできない。それを考えることが大事。
――工場の見直しが不可避だ。
大櫛 工場は足元の供給だけでなく、30〜50年後の市場も見越す必要があります。海外の対応も含め、議論を今後も重ねます。