この人に聞きたい:第642回
(週刊冷食タイムス:18/06/19号)
高齢者向け配食事業で急成長
(株)シルバーライフ 代表取締役社長 清水 貴久氏
(しみず・たかひさ)1974年生まれ。東京都出身。警視庁から民間企業を経て、2002年に高齢者向け配食のFC店に加盟。全国で売上げ1位に。2007年シルバーライフ入社。2012年から現職。明治大学経営学部経営学科卒。
先行投資でシェア拡大へ
高齢者向け配食サービスで急成長しているシルバーライフ(東京都新宿区)は、市場の成長スピードに合わせて売上げ規模を追う戦略を進めている。市場が成熟期に入るまでにシェア率を高め、市場競争で優位に立つねらいがある。
――新工場の建設を先ごろ発表した。
清水 第2工場の所在地は栃木県足利市です。第1工場(群馬県邑楽町)からは徒歩圏内。敷地面積は8782u、製造能力は第1工場の約4倍、日産10万食を計画しています。稼働は2020年前半の予定。総工費は約14億円。資金調達のため昨年東証マザーズに上場しました。
――第2工場の役割は?
清水 メイン商品であるチルドパックの生産拠点です。需要増に対応するため連続式の真空調理ラインを構築し、ピッキングまで自動化する計画です。
――第1工場は。
清水 付加価値の高い冷凍弁当に特化した製造拠点にします。コンベアラインを増設して大型のトンネルフリーザーと自動包装機、X線検査器を導入し自動化を進めました。6月から稼働し、生産能力を現状の日産1万食から2万食まで増強します。
――FC店舗は業界最多の約600。規模拡大が成功要因の1つか。
清水 店舗運営のノウハウだけでは、後発企業にすぐにキャッチアップされてしまいます。当社はスケールメリットを活用して、良質の商品を安く提供できる仕組みづくりに取り組んでいます。
――利益はどう確保するのか。
清水 1000品目以上のメニューを「多品種ランダム生産」して利益を確保するには、一定の販売規はハードルが高いと思われます。
――市場の見通しは?
清水 今は高度経済成長期の国内市場に似た勢いがあります。ただ、10年後は一段と伸びるでしょう。団塊の世代が後期高齢層に入ってくるからです。
一方でメインターゲットの75歳以上は現在約1700万人いますが、2055年に約2500万人まで増え続け、市場はピークアウトすると予測しています。そのため、先行投資で生産能力を上げ、市場シェア率を高めておく必要があります。付加価値戦略やブランド戦略などは成熟期に入った後の話。今は考える必要はないと見ています。