この人に聞きたい:第649回
(週刊水産タイムス:18/08/06号)
無理をせず、笑顔と謙虚さを
東京豊海冷蔵(株) 代表取締役社長 前田 清氏
東京豊海冷蔵は、中央区の豊海地区、大田区平和島(東京団地冷蔵)、千葉県船橋市に3事業所を有し、保管能力は合計8万1642t。首都圏で最初の近代的大型冷蔵・流通拠点として昭和38年に創業した。
当時の写真をみると、豊海地区で同社以外にほとんど建物はなく、歴史を感じさせる。
「攻めは苦手だが、守りは強い」。地味ではあるものの、首都圏における食の安定供給を支え、顧客の厚い信頼と変わらぬ支持のもとで着実な成長と発展を重ねてきた同社の社風を、村田一興前社長は端的に表現した。
その村田氏から6月の総会で10代目の社長をバトンタッチしたのが、長年、番頭を務めてきた前田氏。
石川県能登の水産高校を卒業後、上京して東京豊海冷蔵に入社。会社設立からまだ5年のことで「今日まで営業一筋51年。会社の歴史が人生そのものになった」と笑顔で振り返る。
半世紀の中にあっては冷蔵倉庫の買収や売却もあり、経営難の時期もあった。必ずしも順風満帆とはいえなかったが、歴代社長の経営力で、この10年は財務内容も良くなっている。
特に平成19年にはISOを導入したことで、社員の意識改革と社内教育のレベルアップにつながった。
「マニュアル自体が業務フローになっているので、品質、安全、環境に無理や無駄なく取り組める。新人教育にも活用している」
今、社長として心掛けているのは「身の丈にあった経営。そして笑顔と謙虚さ」。
まずは平和島物流センターの業務を軌道に乗せ、いずれは船橋地区での事業拡大もめざす。昭和24年生まれ。