この人に聞きたい:第679回
(週刊水産タイムス:19/03/18号)
24時間荷受可能で物流が改善
大都魚類(株) 代表取締役社長 網野 裕美氏
――今3月期業績の進ちょくについて。
網野裕美社長 3月上旬までの業績は芳しくない状況となっています。豊洲移転の影響ではなく、鮮魚や冷凍魚などの入荷減少や、環境変化に対応できていないのが主要因。ほとんどの魚種で扱いが減少しているが、特種部門(ウニ、鮮エビ、活魚など)は健闘しています。良い魚がしっかりと評価されるのが豊洲の魅力。東京のマーケットの深さを感じます。
――移転後の豊洲市場の使い勝手や課題について。
網野 卸7社の共同物流会社・豊洲物流による24時間の荷受が可能となり、7街区の物流がスムーズに機能にしています。
築地市場では荷下ろしする場所がなく、トラックが待機せざるを得ませんでしたが、閉鎖型施設で温度管理が可能な豊洲市場では、到着後すぐに荷下ろしができるように改善されました。特に夏場に威力を発揮するでしょう。
一方で、ピッキングする場所や駐車場が足りていないなどの課題もあります。
――移転後のコストアップなどは課題ではないか。
網野 移転後のコストは上昇していますが、想定内に収まっています。ただし、冬場は低温化設備が必要ないため、夏場のコストがどうなるかはわかりません。
――大田支社を今後どのように活用するか。
網野 大田支社では地の利の良さを生かし、新規顧客の開拓に注力しています。豊洲とのアクセスも良く連携しやすい。羽田空港も近く、輸出拠点としても有力です。閉鎖型加工施設を持つ会社やインターネット通販の会社など、豊洲市場とは異なる仲卸業者も多く、注目度は高いです。
18年9月に同支社でISO22000認証を取得しました。認証取得後は、社員の品質管理に対する意識が目に見えて変化しています。豊洲の本社と千住支社でもISO22000認証取得に向けてキックオフしました。19年中の取得をめざしています。
成田支社でも取得する見込みですが、再整備計画があるため、再整備後に取得する計画です。ただし、再整備計画自体が遅れる見込みです。
――子会社・築地フレッシュ丸都(東京都中央区)の今期の状況などについて。
網野 築地フレッシュ丸都は健闘しており、順調に扱いを伸ばしています。収益も予算を達成。業務筋への販売をさらに伸ばしたいと考えています。サーモンやマグロなどの加工が主体ですが、天然魚も増えてきています。
ある業務用問屋から、刺身を介護施設向けに出せるようになり感謝されました。都内にあれだけの加工設備を持つ会社は少なく、強みになっています。今後さらに活用し、扱いを伸ばしたいです。
――来期の重点課題は。
網野 4月1日付で組織改編を行う予定です。鮮魚特種部を「鮮魚第一部」「同第二部」「活魚部」「特種部」、塩干加工品部を「塩干部」「加工品部」にそれぞれ分割します。各部を経営から近くして、営業力を強化するのがねらい。新任部長の活躍に期待しています。
また、既存の営業開発部を中心に新規顧客の開拓に注力します。これまで市場を利用していない人をいかに呼び込めるかが課題となっています。
仲卸業者への販売強化はもちろん、300件近くいる売買参加者との取り引き拡大も大きな可能性を秘めています。