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この人に聞きたい:第698回
(週刊水産タイムス:19/08/05号)

直面する課題 真正面に向き合う

中央魚類 代表取締役社長兼COO  伊藤 晴彦氏

(いとう・はるひこ)1967年3月生まれの52歳。東京都出身。1990年ニチレイ入社、2000年中央魚類入社。ホウスイ取締役、中央魚類取締役、恵光水産社長、水産流通社長、ホウスイ専務を経て、15年6月中央魚類常務、17年6月から専務。日本大学農獣医学部卒。

 中央魚類は6月27日付で伊藤晴彦専務が社長に就任し、経営トップが大きく若返った。卸売市場法改正により業界が大きな転換期を迎える中、新たな体制でグループの持続的成長、企業価値向上を図る。課題と展望を伊藤社長に聞いた。

 ――豊洲新市場に移転して10カ月。このタイミングで卸売最大手の中央魚類で社長交代したことは、水産流通業界が新たな時代を迎えたことを感じさせる。
 伊藤晴彦社長 威勢のいいアドバルーンを上げたいところだが、水産卸売業界としても、また中央魚類という企業としても、直面している課題が多い。まずはこれにしっかりと向き合い、対処するのが先決。中長期的な成長ビジョンを発表するのは、その後だ。

豊洲の物流に改善すべき点

 ――どこから着手する。
 伊藤 現実として「移転ありき」による弊害があったことは否めない。

 新市場が温度管理の行き届いた閉鎖型卸売場として高度な衛生管理を実現し、安心安全な首都圏の基幹市場として新たな役割を果たすことは間違いない。

 当然ながら施設全体が整備され、最新鋭の設備が並ぶ。卸売会社のオフィスは築地市場とは比べるべくもなく、きれいになった。これは豊洲市場で働く人、特に女性から大いに歓迎されていると思う。

 その一方で「見切り発車」による物流面をはじめとする様々な課題も浮かび上がってきた。市場内での荷降ろし、荷さばき、荷積み、さらに小売店・飲食店への配送体制など、一つ一つの細かな点を見ていけば、まだまだ改善すべき点が山積している状態だ。

 最初から100点満点でスタートするのは不可能であるにしろ、真の安全・安心を最優先に、効率的な物流、環境対策、さらには地域に活気や賑わいを創出する魅力ある中核市場という、当初描いていた姿に1日も早く近づけていかなくてはならない。

 ――移転による「光」と「影」。現実から目を背けるわけにはいかない。
 伊藤 我々卸売会社にとっては「移転に伴う経費負担の増加」という現実もある。具体的な金額の差異はあるだろうが、各社ともかなりの負担増になっているのは確かだ。

 それを、何をもってカバーするのか。端的に言えば、売上げを増やすか、コストを削減するしかないわけで、今、実態を踏まえて何が問題であり、どう解決すればいいかを整理し、実行に移しているところだ。

集荷と販売のバランスとる

 売上げを伸ばすには集荷力を強化する必要があるが、販売力が伴わなくては結局、在庫になる。「集荷」と「販売」は車の両輪。相乗効果を発揮していくのが本来の理想であり、マルナカグループのシナジー効果も追求していきたいと考えている。

 ――来年夏には東京オリンピック・パラリンピック大会が開催。豊洲市場にとっても重要な1年になる。
 伊藤 卸売会社7社が共同で立ち上げた豊洲物流も、本来は効率化によるコスト削減を実現するための新会社。これも早く軌道に乗せなければならない。

 ――新社長は右肩上がりの時代が似合うタイプの印象だったが、イメージとは裏腹に、どちらかといえば地味で現実的なスタートとなった。
 伊藤 無駄なものは徹底して排除し、売上げはもちろん、特に利益を重視し、足元の仕事に丁寧に取り組んでいこうと呼び掛けている。「やってはみましたけど、結局、損しました」は、もはや許されない。

マルナカグループのシナジー発揮

 ――マルナカ(中央魚類)グループを見ると、子会社のホウスイは冷蔵倉庫事業で積極的に設備投資し、水産食品事業も軌道に乗っている。
 伊藤 それはそれで非常にいいこと。私としては、中央魚類単体をしっかり立て直すのが最大の役割と自覚している。豊洲市場への移転効果を業績面でも、もっと反映できるはずだし、できなければ未来はない。そのためにも社内全体での意識の共有が不可欠。あくまでも私は、コミュニケーションのとれた中央魚類という企業の中の、一人に過ぎない。一人ひとりが一致団結して最高の市場を作るという意識を持ちたい。

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