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この人に聞きたい:第711回
(週刊冷食タイムス:19/11/12号)

災害時に最も大切な人命

三菱食品(株) 代表取締役社長  森山 透氏

(もりやま・とおる)1977年三菱商事入社。ジャカルタ、ニューヨークなど海外勤務を経験し、2005年ローソン出向。16年4月1日付で三菱商事常務執行役員から三菱食品の社長に就任した。1954年8月生まれ、65歳。

次に大事な「現場の判断」

 三菱食品の森山透社長は今月1日都内で開いた決算説明会の席上、相次いだ台風の被害に関連した対応などについて、質問に答える形で解説した。

 ――関東や東海を中心に記録的な大雨をもたらした台風19号では日本に上陸する前から計画休業する小売店が相次いだが、影響は。
 森山 計画停電したCVSや量販店は予想以上に多かった。しかも休業の形態が午前中から、午後からとバラバラ。早く休業を決めた店も、当社への連絡がぎりぎりだったり、現場は大混乱だった。当社の場合、前日に発注をもらい翌日配送が基本なので、配送車の三分の一はセンターを出発した後に戻ってきた。台風当日は「通常の配送ができない」と連絡を入れると、すぐに事情を理解して承諾してくれたケースが大半だった。
 
 ――観測史上最強クラスの勢力といわれた15号の時は?
 森山 いま振り返れば、この時が一番きつかった。全国各地、広範囲で停電が発生したのが痛い。事前に作成していたBCP(事業継続計画)の基本ルールでは一番に大切なのが人命、二番は現場の判断。情報が錯綜する中で本部が口出しするのは危険が伴うので、現場の責任者に任せています。

 ――小売店が24時間営業を見直す検証を進めているが、配送面で影響があるのでは。
 森山 人手不足が深刻化する中で、受け手側が不在でも商品を納品していく『置き配』はすでにやっている。実例は少ないが、置き配のほとんどがカギを預かり、配送者が開けて商品を収めるスタイル。温度管理を必要としない加工食品は良いが、冷凍食品やチルド食品はケースに陳列までしなくてはならず、時間が掛かって現実的ではない。商材として重要なのはわかっているので、小売店と協議を続けており、何らかの答えを導き出したい。
 
 ――置き配時の検品は。
 森山 15年ほど前に私がCVSに関わっていた頃は、全品検品するのが当たり前でしたが、今は注文のあった商品を店に届けるまでの精度が上がり、ほとんど検品なしになっている。誤配は100万分の1か2程度は出るが問題ない。事前にデータを送ってもらうことで配送精度は格段に上がっている。

 ――賞味期限問題もある。
 森山 かつての3分の1ルールが変わりつつあり、2分の1に変化している。今年から来年にかけて一段と緩和されると思う。日本政府が2000年度対比で、30年度までに食品ロスを半減しようと動いていることも大きな後押しになっている。

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