この人に聞きたい:第720回
(週刊冷食タイムス:20/01/21号)
風通しの良さ戻った
ケイエス冷凍食品(株) 代表取締役社長 斎田 直樹氏
(さいだ・なおき)ピルスベリー、加ト吉から平成22年KS営業本部長。常務で退任、桃屋で営業本部長。30年テーブルマーク復帰、3月KS社長に。若い頃サーフィンで海外遠征も。昭和37年4月東京生、東洋大経営卒。
めざすは何でも言い合う社風
ケイエス冷凍食品に2018年復帰し、社長としてまもなく2年。親会社テーブルマークでKS担当の執行役員を兼務。「伝えたことが末端まで浸透するようになった」と改善成果を語る。
――昨年の概況から。
斎田 1〜11月の速報値で家庭用3・5%増、鶏つくね串が9%増とけん引、ごまだんごは29%増と大きく底支えしました。業務用は2%減、肉だんごが前年並み、豆腐加工品が12%減と苦戦した。
――鶏つくねの伸びが心強い。
斎田 季節限定の「しょうが」も含め鶏つくね串は好調、業務用ではタレ付肉だんごを伸ばしたかったが、思うようにいかなかった。
――前期は独自のミンチ加工技術を生かして自社泉佐野工場の生産性を高める計画だったが。
斎田 泉佐野工場の生産比率は18年の58%を19年は58・9%まで高める計画でしたが、11月までに59・9%と計画を上回っています。鶏つくね串効果です。
――マーケティング部効果は?
斎田 商品を活性化しようと模索を続け、一定の効果は出ていますが、さらに組織力を高めるため、プロの女性マーケッターを外部から招き、指導を受けています。
――売上げ重視から利益優先に切り替えてきたが。
斎田 社内研修を重ね、工場では強みのある分野をさらに重点化しようと意識改革し、見える化も進めて、新年度につなげる一定の成果を出しています。めざすのはユーザー個々が求めるミートボールを商品化し提案する「MBA」(ミートボールアドバイザー)。
――斎田さんが復帰以来、社内改革、職場改善を重ねてきた。
斎田 社内意識を変えるために研修を重ね、外部アドバイザーの指導を入れ、取り組んできましたが、私が伝えたかったことが末端まで伝わるように、風通し良くなってきました。この点で当社が持つ風通し良さが戻ってきたか、と。
――2020年度はどうする?
斎田 社長就任以来「しなやかな経営」を方針としてきましたが、新年度はこれに「弾力」を加えます。しなやかさを保ちながら、外からの力を跳ね返し、弾ませるのが弾力性。人と人とのコミュニケーションにも大切な要素です。重点課題は営業力の強化、製造基盤の拡充、収益力の向上、組織・社内風土を生かすことです。
――コミュニケーション良くする、はどこでもめざしているが。
斎田 タテヨコの関係はなくしてフラットにし、何でも言い合う会社にしたい。そこで社内では「役職名で呼ぶな、“さん”で呼ぼう」と求めています。定着させるためには何度も社内で言い続けます。