この人に聞きたい:第748回
(週刊冷食タイムス:20/08/18号)
需要変化に注目、料理素材を提供
ケイエス冷凍食品(株) 代表取締役社長 斎田 直樹氏
(さいた・なおき)ピルスベリー、加ト吉から平成22年KS出向、営業本部長、常務。桃屋営業本部長を経て平成30年TMに戻り、3月KS冷食社長。サーフィンは国内外で活躍。昭和37年4月東京生、東洋大経営卒、58歳。
工場の手直し進め生産利益稼ぐ
冷凍食品100%、しかも家庭用と業務用の扱いがほぼ半々というケイエス冷凍食品。コロナで何が変わり、何が課題として浮き彫りになったのか。業界各社が参考になるものがそこから見えてくる。
――コロナ前までは?
斎田 今期1〜3月は好スタート。市販用も業務用も売上げ好調で、利益も大幅アップ。いい感じ、このままいけば、と思ってました。
――3月から全国で学校の一斉休校など影響が出始めたが。
斎田 3月後半からですね、市販用の動きが鈍化し始めた。当社の家庭用は弁当向けが半分を占めているので、休校、在宅勤務が直撃、特に首都圏がドーンと落ちた。続いて外出自粛で業務用も動きが鈍くなった。4〜5月と市販用、業務用ともに大苦戦、前年に比べ2〜2.5割減でした。
――6月に一旦自粛が解除され学校も再開された。
斎田 6月は市販用が90%まで回復し、業務用も82%に。これは5月に比べ市販用で27%、業務用で10%の戻りでした。中でも主力品「鶏つくね串」は5月79%に対し6月は前年より7%の上乗せ。これは学校が再開されたことに加え、家呑み需要を開拓してきた成果。売場の配荷率アップを働きかけてきたこともプラスになりました。しかし業務用は他社同様厳しい。特にホテルバイキングの需要はしばらく戻らないでしょう。
――泉佐野工場はどうしてた?
斎田 ダメージが大きかったですね。特に業務用は需要が急減したのでラインを一時止めざるを得なかった。隣接する倉庫は満杯。しかし悪いことばかりでもない。これまでフル稼働が続いていたので手直しの時間が取れなかった。そこでこの機会に修理し、改善した結果、工場利益が良くなった。
――これからどうする?
斎田 冷凍食品の新ユーザーがかなり増えた。買い場もコンビニやドラッグ店が多くなってます。しかし当社の取り組みが手薄なチャネルもあるので、営業を強化しています。また、冷凍食品は簡便化を追求してきたが、家ごもりを機に自宅料理が増えてます。そこで“料理素材”として自分で味付けするタレなしのミートボールを秋の新製品として開発しました。
――働き方も変わる?
斎田 業務改革のプロジェクトを立ち上げました。足元を見直すいい機会だと。コロナを機に、身を守りながらもポジティブな発想で攻めの営業をしよう、と社内に働きかけています。コップに水が半分。「もう」なのか「まだ」と捉えるか。前向きにいきます。