この人に聞きたい:第749回
(週刊冷食タイムス:20/08/25号)
徹底して「売りにこだわる」
マルハニチロ(株) 執行役員 家庭用冷凍食品ユニット長 若宮 靖史氏
(わかみや・やすし)1984年大洋漁業(現マルハニチロ)入社。福岡支社、本社水産商事部門、人事、経営企画部、関東支社、事業管理部を経て今年4月から現職。1961年8月26日生まれ、岐阜県出身。慶応大商学部卒。
筋肉質で健全な業務拡大推進
マルハニチロの若宮靖史執行役員家庭用冷凍食品ユニット長は今年4月現職に就任し「徹底的に売りにこだわる」、「他社に売り負けない」と全部門に呼び掛けた。現状を聞いた。
――前3月期の家庭用冷凍食品ユニットは増収増益だった。今期4〜6月の動きは。
若宮 家庭用冷凍食品の販売はコロナ禍が追い風となり、米飯やピザ・グラタンを中心に伸長し、全体では110%で推移、内食需要が予想以上に伸びた。これを受けて工場は休み返上で増産体制を敷きフル稼働としたが、供給が追いつかないアイテムがあった。
――主力商品の伸び率は。
若宮 米飯・麺が135%、ピザ・グラタンは150%超。2019年秋発売のWILDish(ワイルディッシュ)シリーズ5品の内、「エビピラフ」と「チキンライス」を休売し、「焼豚五目炒飯」、「豚キムチ炒飯」、「ねぎ塩カルビ炒飯」の3品に販売を集中した。弁当商材は臨時休校等の影響もあり85%と苦戦した。
――弁当商材bP企業として、弁当商材をどう売り込んでいく。
若宮 メーカーサイドの弁当という括りに囚われず、商品によっては気軽に利用できる便利な「適量おかず」としても販促をかけていく。実際、コロナ禍においてもそうした需要があって弁当カテゴリーは85%という落ち込みに止まったと考えている。
――「WILDish」が想定以上に売れた。
若宮 第1弾の米飯はスタートダッシュが良く、一時は品切れを心配するほどの出荷状況であった。第2弾の麺も堅調に推移している。いずれも喫食時の皿を用意することなく容器から直接食べられる、という簡便性が世代を問わず広く受け入れられた。
――ウィズコロナ、どう対処していく。
若宮 コロナ禍はしばらく終息することなく、不要不急の消費の低迷は続く。生活必需品である食品に対しても消費者の節約志向が高まると予想し、それに対応した開発・生産・販売体制を整えていく必要がある。重点商材・新商品を中心に据え、改廃を含む事業全体の商品構成の組換えを進める。その上で単品別損益管理による判断が重要となる。
――現職に就き、見えてきた事はあるか。
若宮 冷凍食品事業は当社グループの成長エンジンの一つ。筋肉質で健全な業容拡大を進めるために、生産・販売体制の見直しや商品構成等の組換え等が必要で、2〜3年のスパンで構想し改善を実行していく。