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この人に聞きたい:第750回
(週刊水産タイムス:20/08/31号)
いかなる状況下も活路見出す
マルハニチロ株式会社 取締役専務執行役員 粟山 治氏
(もみやま・おさむ)昭和34年1月28日生まれの61歳。東京都出身。東海大学海洋学部卒業後、大洋漁業(現マルハニチロ)入社。水産第二部長、水産第三部長、水産加工品部長、海外戦略部長を歴任。常務を経て今年4月現職。
若い頃、キューバ産のロブスターを日本市場に売り込んだ。その後、結婚式の定番メニューとなったが、当時は「国産のイセエビより価格的に扱いやすい商材として、ホテルの料理長にプレゼンしながら、何度もキューバを往復した」。 世界を代表する水産企業のマルハニチロで、事業の舵取りを担う立場となった今も、その時の苦労とやりがいを忘れていない。これまで海外駐在の経験はないが、「海外出張は年間120日に達した」こともある。 コロナ禍という厳しい状況下での船出。だが、「世界の魚食文化をリードする使命と責任が、マルハニチロにはある」との思いが悲壮感を吹き飛ばす。 国内外の市場動向はもちろん、水産資源の保全、持続可能な水産物の安定供給にも常に目を向け、業界パイオニアの完全養殖クロマグロはコストや販売価格の兼ね合いから厳しい事業運営が今後も予想されるが「やめるつもりはない」。 民間企業である以上、採算を度外視することはできないが、日本の大手水産会社の事業としての社会的意義もある。「さらなる技術革新やコスト削減努力で再生産可能な事業確立をめざす」。 2020年3月期の水産事業は、相場安と原料高で収益が伸びず、厳しい結果となった。X字回復を期した矢先にコロナという未曾有の試練に直面。新年度は赤字を覚悟したユニットもあったが、むしろ量販店向けのリテール部門を伸ばす取り組みに、今後の活路を見出す。 まもなく天王山の第3四半期(10〜12月)。ウィズコロナ時代という前代未聞の初陣に挑む。
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