この人に聞きたい:第751回
(週刊水産タイムス:20/09/07号)
カタチを変え、伝え続ける
(株)カネダイ大野商店 大野 秀貴社長
(おおの・ひでき)20歳で高専を卒業後、専門職の道には進まず、家業を継ぐために札幌市の大手仲卸業者に就職。24歳で実家に戻り、全国の百貨店で数多くの物産展販売を行う。38歳で代表取締役に就任した。1974年生まれ、むかわ町出身。
毎年好評のシシャモ寿司提供を断念
ふるさと納税のお礼品としても高い評価を得る同社。しかし、コロナ禍の影響を受け、売り上げは大きく減少。今年10月からの寿司やシシャモ丼の提供も消費者や従業員の安全を考慮し中止を決断した。
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――コロナ禍の影響は
例年、冬から春にかけては北海道物産展が多く開催されるため多くの売り上げを見込んでいたが、コロナ感染拡大により50件以上が中止。特に開催が集中する2〜5月にかけては売り上げが7割減少した。
今後もコロナの影響は避けられないと考えている。現在、店内での焼きシシャモの試食サービスを中止しており、10月からの握り寿司や丼の販売も断腸の思いで中止を決定した。
10月にシシャモ漁が解禁となり、毎年多くのお客様が生寿司目当てに来店してくださっている。週末には1時間以上の行列ができることも珍しくなく、関東や関西、九州など遠方からの来店も多い。
現在、多くの問い合わせをいただいており大変心苦しいが、過密状態は避けられないと判断した。お客様や従業員の安全を最優先に考えた。
通販サイトのラインナップを見直し
――どう対策したか?
まず、ECサイトにおける販売を強化。少しでも消費者が購入しやすいように商品ラインナップを見直しお得なセット商品を用意した。「生干ししゃもSメス40尾セット」は全国送料無料(沖縄、離島除く)の3800円で購入いただける。通常価格は4100円。別途、クール冷凍便の送料が発生するため非常にお買い得な商品といえる。同時注文であれば他の商品も送料無料で提供可能なため、この機会にぜひお試しいただきたい。
また、5月末の緊急事態宣言解除を受け、6月1日に店舗営業を再開。従業員のフェイスガードの着用や間仕切りの設置、徹底した店内消毒を行いつつ、接客対応を行っている
――今後の対策について
ECサイトにおいてはラインナップ改善やメディア効果により売り上げは前年の4〜5倍に増加したが全体をカバーするまでには至っていない。今後も消費者目線に立った商品開発に努めていく。
お客様に今以上に安心して買い物を楽しんでいただくために店内レイアウトの変更を検討している。お客様同士の接触を避けられるように入店から購入までのスムーズな動線を構築する予定。
――ふるさと納税のお礼品提供について
ふるさと納税で当社商品を知っていただき、ファンになっていただいた方も大勢いる。ふるさと納税のお礼品は事業者が送料を負担する必要が無いため参加しやすく、大変助かっている。 また、さとふる(東京都中央区、藤井宏明社長)の特集ページ「新型コロナウイルスに負けない!お礼品事業者の挑戦」ではコロナ禍の影響や立ち向かうための取り組みを全国に発信いただきとても感謝している。
――消費者へのメッセージを
代用シシャモであるカペリン(カラフトシシャモ)と混同している方もまだまだ多いと感じている。たっぷり卵が詰まったカペリンもおいしい魚ではあるがホンシシャモとは別物。来店されるお客様はオスのシシャモも販売されていること、卵を抱いていないということにまず驚かれる。
一度は味わっていただきホンシシャモを堪能してもらいたい。
来年秋に最高品質のシシャモ寿司を
当店のシシャモ寿司は職人が店内で握る生寿司のため配送ができないことがとても悔しいが、コロナ感染拡大が収束した際にはぜひむかわ町にお越しいただきたい。
来年の秋に最高のシシャモ寿司が提供できるようにコロナ対策やより質の高い商品づくりに努めていく。今はふるさと納税やECサイト経由で応援していただけたらうれしい。