この人に聞きたい:第752回
(週刊冷食タイムス:20/09/15号)
拠点の老朽化対策が課題
日水物流(株) 代表取締役社長執行役員 小林 雄二氏
(こばやし・ゆうじ)日本水産で水産事業第一部長、執行役員水産事業副執行等を務めた。6月5日付で現職。「低温一貫物流で、高度化・多様化するニーズに応える」。昭和33年7月生まれ、62歳。青山学院大経済学部卒。
新設も前向きに考える
日水系の低温物流企業、日水物流。6月に現職に就いた小林雄二社長は「拠点の老朽化対策が課題のひとつ。新設も前向きに考える」と語った。
――日本水産では荷主の立場だった。
小林 今は預かる立場です。水産品をはじめ受託物は昔と形態が変わってきましたが、保管料は意外と変わっていません。料金体系の見直しなど、冷蔵倉庫は転換期を迎えていると思います。荷主の4割は日水グループ企業、それ以外が6割を占めます。最近は荷主全般的に在庫調整に入っている様子。在庫水準が高い状態は続いていますが、先行き不透明です。
――課題は何か。
小林 当社は日水の冷蔵倉庫部門と東部冷蔵食品、西部冷蔵食品が統合し2007年4月に発足後、大阪舞洲物流センター2号棟など4事業所を新設しました。一方、経年化が進んでいる事業所が複数あり、古い所は築46年が経過しています。また事業拡大を念頭に新設も前向きに検討します。
――事業所は現在17拠点ある。
小林 前身の東部冷蔵食品は仙台日の丸冷蔵と丸神運輸を合併、西部冷蔵食品も北九州冷蔵食品や近畿冷蔵食品と合併した会社です。こうした経緯から17事業所の構造にそれぞれ個性があります。水産原料保管を目的に沿岸にできた冷蔵倉庫もあれば、日本水産の工場に隣接した拠点もあります。事業所ごとに差があることを踏まえ、それぞれに合わせた将来像を考え、老朽化対策や新設等の計画を練っていきます。さらに環境負荷低減や安全・安心対応などを考慮し設備投資の計画を立てます。
――全ての拠点を回った?
小林 はい。コロナ感染予防の行動制限もあり、全拠点を回り終わったのは8月下旬です。現場をみて実感したことは、従業員の懸命さです。使命感を持って、コロナ禍でも業務を継続している姿を見て、感謝の念を抱きました。事務所を含め感染予防対策を徹底しています。当社から感染者はこれまでのところ出ていません。
――出身地は。
小林 島根県出雲市です。実家は魚の卸売店。父の仕事を間近で見ていたので水産業は子供の頃から身近に感じていました。日水入社後、鮪や蟹の調達・販売を長年担当しました。若い頃上司に言われたのは、現場に行って魚を覚えろということです。鮪を担当していた頃は晴海にあった寮に住み、築地に毎日歩いて通っていました。安全靴を履き、手カギを持って冷凍まぐろの選別をやっていたことなどを鮮明に覚えています。