この人に聞きたい:第755回
(週刊冷食タイムス:20/10/06号)
個々の商品を大切に販売
(株)日本アクセス フローズン食品MD部長 渕之上 明生氏
(ふちのうえ・あきお)転職で雪印物産(現日本アクセス)に1987年入社。静岡支店で洋日配の営業を約3年、冷凍食品の営業を約24年担当。2017年静岡支店長、昨年4月1日付で現職。1966年8月生まれ、54歳。静岡市出身。
売場の魅力高める新商材に期待
日本アクセスの渕之上明生フローズン食品MD部長に今期の冷食販売の状況やコロナ後を見据えた商品政策、アワード企画のポイント等を聞いた。
――4〜8月の家庭用冷凍食品の売上高は。
渕之上 前年同期比16%増で推移しました。巣ごもり需要で2ケタ増です。3〜4月が爆発的な伸び、5月以降も高止まり。米飯や麺・パスタ類がよく売れました。例年4〜5月は弁当商材の売上げが伸びますが、今年は逆に、弁当商材が低調気味。一方、長らく低迷していたピザ・グラタン類が消費者に再認識されました。また、冷凍餃子が本当によく売れました。SNS上の手抜き・手間抜き論争も広く話題になり、販売に奏功しました。餃子などは夕食向け商材として今回改めて認知されたと捉えています。
――今秋の新商品は少ない。
渕之上 その中でいえば、味の素冷凍食品の「ザ★から揚げ」に特に期待します。
――恒例の冷食総選挙「フローズン・アワード」を今月からスタートした。
渕之上 投票受付を10月から始めました。昨年初めて動画を活用し、メーカー担当者がネットを通じて商品訴求を行い、その効果もあって投票数が前年の倍になりました。そこで今年も動画配信を活用します。売場に立ち寄っていただくことがフローズン・アワードの目的です。動画は各メーカーに、商品訴求により特化した内容を求めました。各社とも前回以上に気合が入っている様子でした。
――動画を視た感想は。
渕之上 商品に込めている思いの強さを改めて感じました。個々の商品が努力の結晶であり、大切に販売していきます。あらゆる企画を通じ、アフターコロナも売場が活性化するよう取り組みます。
――今回のアワードは通常のNB商品だけでなく、エリア限定の商品にもスポットをあてた。
渕之上 初の試みです。全国的に知られていないものの、優良なローカル商品があることを伝えたいと思います。アワードで人気上位になれば、出来る限り広く流通させたい。
――新たな提案で業界を盛り上げてほしい。
渕之上 新商材で消費者をひき寄せなければ、需要が落ちかねません。コロナ禍で多くの消費者に冷凍食品を食べていただいたことは、業界にとってプラスでしたが、消費者全体の半数以上が未購入者との調査結果もあります。前向きに捉えれば、未購入者に訴求する余地が大きいとも言えます。