この人に聞きたい:第758回
(週刊冷食タイムス:20/10/27号)
苦戦する飲食店フォロー
日本マッケイン・フーズ(株) 代表取締役社長 長井 貴氏
(ながい・たかし)1991年富士ゼロックス入社。退社後、ワイン業界で14年。07年ダノンジャパン、10年ハインツ日本、15年コカ・コーライーストジャパン。19年2月日本マッケイン・フーズ副社長を経て、同年7月現職。1968年10月9日生まれ、神奈川県横須賀市出身。中央大商学部卒。
経時変化に強いポテトを提案
日本マッケイン・フーズの長井貴社長は、営業活動が制限される中で「ポテトは経時変化に強いコーティングの提案を強化。サイズダウンも検討している」等次のように語る。
――コロナ禍における直近までの業績は。
長井 具体的な金額は公表していないが、前年同期比でみると105%で推移している。4割前後の構成比を占めるファストフーズが大手を中心に順調に伸長したものの、一般の飲食店が前年の7割前後に落ち込んでいる。利益が多少減少しているのは「マッケイン社の世界共通の傾向」だ。
――感染拡大の防止、という観点から商談が難しくなっている。
長井 顧客によってはリモート商談のみなど日々の営業活動が制限される中、主力商品の冷凍フレンチフライポテトは経時変化に強いコーティングポテトの提案を強化している。言葉での説明よりも実際に使ってもらう方が理解が早いので、商品のサンプリングなどでコーティングポテトの優位性を訴求していく。
――ファストフーズはともかく一般外食店の経営は厳しい。
長井 大半の外食店は来店客数が大幅に減少しており、店で使うポテトの消費量も減っている。店の冷凍庫スペースは大きくなく、ポテトだけで冷凍庫を一杯にする訳にはいかない。そこで1kgパックや500gパックのサイズダウンを検討しているところ。我々自身も変わらなければならない。
――コロナ禍において物流の遅れなどはなかったか。
長井 世界的なコロナウイルスの感染拡大で工場の一時閉鎖に伴う物流の遅れを心配していたが、マッケイン社での感染報告はなく北米の工場はフル稼働している。ただ5月くらいまではポテト需要が伸び悩んだため、工場の操業を止める生産調整はあったが、今は各工場ともフル生産を続けている。アジアには中国以外に工場はなく、中国での需要が活発なので他国へ輸出する余裕もない。
――コロナの収束はいまだ見通せないが、どう対処する。
長井 決定的な対応策はない。我々自らが直接ユーザーに出向いて今の悩みを聞き、その解決に向けて企画提案をすることがとても大事。ただし訪問や商談に規制があり、様々な角度からデジタル化を推進する必要がある。当社が飲食店を対象に8月から展開している冷凍ポテト「Sure Crisp(シュアクリスプ)」のサンプルキャンペーンは、SNS(Instagram)を活用。ユーザーのアイデアを聞き、一緒に販売を支援したい。